むらむら

アンチグラビティのむらむらのレビュー・感想・評価

アンチグラビティ(2019年製作の映画)
5.0
若手建築家が目覚めた先は見知らぬ世界。目の前に広がるのは、重力を無視して浮遊する建物に、異形の怪物たち。この世界は一体何なのか、彼は現実世界に戻れるんだろうか……。

観始めて10分。「インセプション」「マトリックス」「ドクター・ストレンジ」をめちゃくちゃに混ぜ合わせて、ゲーム「グラビティデイズ」のスパイスを振りかけたような、観たこともないような世界観が広がる。正直、ロシアの映画を舐めてた俺は、

「ロシアの視覚効果技術もここまで来たか……」と感嘆した。

……それ以降は「あ、これ、廃墟のセットだよね!」と丸わかりなドラマ部分が始まる。正直、もうちょっと頑張れるだろ、と思っていた俺は、

「ロシアの視覚効果技術はここで力尽きたか……」と嘆息した。

確かにこの「アンチグラヴィティ」は、マラソンで全力疾走して、最初の10キロで力尽きたような映像。とはいえ、折り返し地点を終えて、トップ走者がゴール10キロ手前まで来たときに横から飛び出すかの如く、後半、また不可思議な世界が始まる。ここのエッシャーの騙し絵というか、ターセム・シンの映画がグルングルン動いてるような映像美も物凄かった。

加えて、個人的にオリジナリティを感じたのが、この世界全体の設定。上記の作品群に近いけど、なかなかオリジナリティのある要素(「デス・ストランディング」に出てきそうな怪物の正体とか)が加えられていて、シリーズ化しても面白そう! ちゃんと話にオチもついてるしね。

余談になるが、この感想を書くためにIMDBをつらつら読んでたら、「この映画最高!」って10点満点を付ける人たちと「インセプションを超えてない!」って1点しか付けない「インセプション原理主義者」が攻防戦をやっていた。

この原理主義者たちは、「この音楽はバッハのコード進行」「あの絵は『モナリザ』に敵わない」「餃子は水餃子しか許さない」「体位はバックのみ」とか、日常生活でもそんなことを主張してるんだろうか。そんな人生つまんないと思うけどなー。

俺的には、めくるめく映像を堪能できたので、それだけで★5つです!


ちなみに俺は、「仏壇返し」か「菊一文字」が裏パッケージにあると借ります!(何を?)
むらむら

むらむら