へたれ

スパイの妻のへたれのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
3.7
良かったとこ1 昭和の映画的な佇まい
蒼井優が、往年の女優のような古風な言い回しと、語尾まではっきり聞こえる発音で、昭和前期の女優が憑依したかのよう。
シーンの作り方では、身体を向き合わせずに会話する舞台演技的なシーンもあれば、小津映画のように正面から話者を撮るシーンもあって、昭和20年代の映画を再現したような感覚が良かった。

良かったとこ2 不気味さ
まず東出昌大が演じた憲兵が不気味。終盤の瞬きしないで追い詰めるあたりは特にハマっていた。
光と影を使った照明や不必要に薄暗い倉庫などはいつものことだけど、中盤に出てくる拷問シーンの痛々しさなどは、見せ方(隠し方)の上手さが際立っていた。

ダメだったとこ 脚本の無理矢理さ
妻の嫉妬から国際的な秘密に関わっていく、と聞くとヒッチコックばりのサスペンスに聞こえるけれど、蒼井優が演じる妻の行動が基本的に感情まかせのデタラメ。せっかくのサスペンス設定なので、もう少しプロットをロジカルにした方が楽しめた。
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