かつきよ

ウィリーズ・ワンダーランドのかつきよのレビュー・感想・評価

3.2
ウィリーズワンダーランド

一時期ネットで話題になっていたホラー✖︎シュール映画。
遊園施設の清掃員となったニコラスケイジが、化け物(アニマトロニクス)相手に無双するという、もはやギャグかと思うようなシュールな作風が話題になりましたね。

あらすじ出オチ感が拭えないですし、88分という比較的見やすい時間だったこともあってなんとなく鑑賞してみましたが、結果的には想像通りの設定出オチ!

登場人物はほぼニコラスケイジと化け物だけ……と思いきや、意外にもサブキャラが多くて、設定やストーリーもあったのがびっくりです。

◆友達と突っ込みながら見て!

映画として微妙だなと思ったところが多かったので、若干辛辣なレビューになりますが、これだけは最初に言っておきます!この映画「ポテチとコーラを用意して適当に茶化しながら友達と見る」のが正解な映画!……だと思います。「雑に消費されることを目的とした映画」というと語弊があるかもしれませんが、このくらいの気軽に楽しめるノリの映画を目指したんじゃないかなぁ。

◆良く言えばほぼ期待通り
◆悪く言えば期待を超えない
◆捉えようによってはむしろ期待はずれ

宣伝通り、ニコラスケイジがホラーの文脈ガン無視で無双する姿は見られるし、そこに確かにカタルシスは感じられました。
なので、まあ期待通りといっちゃそうなんですが、それ以上得るものが何もなかったというのが若干残念。
そこそこな映画だと思って見てみたら本当にそこそこな映画で終始していたという感じ。

ストーリーや設定を入れるのなら、もう少し細かいところまで詰めてくれてもも良かったんじゃ?と思う雑な背景設定。
ホラー文脈無視のネタ映画ならネタ映画に振り切れば良かったのに、この点が中途半端に感じられてしまったので個人的には笑えもしなければ話にのめり込むこともできなくて残念でした。
頭を空っぽにしてみられる無双映画なら、イコライザーとかジョンウィック(初代)の方が好みで、期待していたのはそれのホラー版(かつギャグ版)系だったので、そう言った意味で期待はずれでした。
ただ、逆にこの絶妙で不思議な温度感にハマる人もいるかも!

◆よかった点

○ニコラスケイジの怪演

どこまでがネタバレなのかイマイチ判断のつきにくい作品なので言及は伏せますが、主人公のキャラクタがなかなかに不気味。
派手にインパクトがあったり、わかりやすく尖っている訳ではなくて、不思議というか、割と不鮮明な感じでした。
何故主人公をこんな風に描いたのか……
いくつか考察を読んで、しっくりくるものもあったので、それについてはネタバレ有りの後半で触れます。

ともあれ、その不思議な主人公なのですが、彼の存在がこの映画の見どころの半分以上だと言っても過言ではありませんでした。他の要素(ストーリーとか)はほぼおまけ程度。
このなんとも絶妙な役所のキャラクターを、まさしく怪演しきっているニコラスケイジ氏の演技力、そして存在感たるや。
ニコラスケイジ氏に特別な感情は持っておりませんが、これが大大大好きな俳優さんとかだったら★4評価は下らなかったかなと勝手に思ってます。
ニコラスケイジファンなら特にオススメですね

○音楽はすごくいい

レビューをする時、音楽に関しては滅多なことがないと言及しない専門外の私ではございますが、それでもガツンと印象に残る音楽の使い方!かなり良かったです。
オリジナル楽曲であろう施設のテーマ、キャラクターの紹介ソングはもちろん、日本人も知っているような定番子供向けソングのメロディが狂ったように鳴り止まないあの感じ。ホラーと明るい音楽っていいですよね。

○世界観もまぁまぁ

やっぱり遊園地とか娯楽施設✖︎ホラーのシチュエーションってワクワクしますよね。

◆うーんと思ったところ

○破壊シーンが少しマンネリ気味

一番気になったところはここ!
ニコラスケイジがモンスターに無双するという前情報通りの爽快感は得られたのですが、せっかく敵が5、6体?いるのに、破壊方法が一辺倒。
ようく見てみると、一つ一つの戦い方や展開に多少の差はありますが、画面から受ける印象は似たり寄ったり。基本めった打ち。the暴力。同じ単純暴力ならせめて加速度的にやりすぎインフレして欲しかったものですが、最後まで倒し方は同じ感じです。
対決シーンや導入には差異があるのに、対面してみたら皆同じノリでぶちのめしてしまうので、後半の方は見減りしてしまいました。

○ツッコミどころ満載
○周囲のチープさと主人公のバランス

主人公の特殊なキャラクター性と行動を除けば、それ以外の設定やキャラクター、動きなどはTheテンプレホラー映画。その辺りは、主人公の異常性との対比を狙っているからこその「あえて」なんでしょうけれど。
ただ、テンプレとベタは別だなと思わせるようなチープさが目立つ演出や設定の数々。
主人公周りの演出がかなり浮いてるので、それに合わせて周りもかなり適当にするか、逆にガッチガチのガチめの構成にして欲しかったですね。周りの設定をかなり本格的に練り込んで演出して、主人公周りの雰囲気との粗密の温度差で風邪ひかせてくれるようなネタ映画を期待していたのですが、実際は全体的に中途半端だなという印象に終始してしまいました。
各設定はガバガバでツッコミ所や違和感が多く、こんな感じならそんな設定しなくても良かったのに……(もしくは、ここまで設定したなら細部もうちょい詰めてよ……)と思ってしまい、残念でした。

一発ネタ系の映画ほど、思ったよりちゃんと作られてるじゃん!というこだわりや深み、ちゃんとみると実は凝ってる位の意外なクオリティを求めてしまいます。逆に開き直った適当さなんかには惹かれるのですが、その辺りのバランスが好みではなかったです。

○敵キャラクターの個性

せっかく敵キャラクターも6体?くらいいるんだから、もっともっと個性を出して欲しかったなと。
襲い方や仕草はキャラごとに違っていたので、個性はあったんだと思いますが……
先述した通り、結局vsニコラスケイジになると戦闘シーンが一辺倒なので個性が感じられないんですよね。ルーティーンやられみたいな
鑑賞した人の中で「特にこのキャラクターが好き!」と意見が偏るくらいそれぞれパンチが効いてるキャラクター性してても良かったんじゃないかなぁと思います。若干勿体無いです。

◆総評

サクッと見たくて、あらすじ読んで面白そう!と思た人は損しないはず
それ以上を求めてしまうとやや厳しいので、あくまで一発ネタ映画として期待は禁物
あえて1番の見所をあげるとしたら役者さんかなと思うような映画でした。

逆に言えば、あれこれ考察したり、深くのめり込んだり、一生懸命見たり、そう言った労力は少なめで済むので、あとぐされなくライトに楽しみたい人にはオススメです!
あと、ニコラスケイジファンは是非!!!!




以下、ネタバレ感想を語っていきます













※以下ネタバレ有り




















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※ネタバレ有りですよ!!!!


















◆主人公について

最後まで一言も喋らなかったですね!
無口な男とは言うけど、無口すぎる!名前すらわからない!
少しの返事くらいしろ!笑

最初こそ尖ったキャラだなと思っていましたが、最後まで見るとキャラクターとして違和感の方が大きく、もはや異常としか思えない描かれ方がされていたのがとにかく気になりました。

導入部分からしばらくの行動は理解できたんですよ。
どこかへドライブする途中で、タイヤがパンクしてしまって、修理するための費用が現金しかないので、修理屋の提案した清掃バイトで修理費を補填することに……

導入として悪くなく、この間のやり取りを終始無言で行う点についてはひっかかりつつも、まあ無理はないなと思いました。
無言でコクリとはっきり頷くニコラスケイジはどこかシュールで面白かったですしね。

ただ、清掃を始めてからの彼の態度が、不可解だらけ

・人形が暴れ出しても冷静に対処・破壊
・第三者に警告されても無視
・絶対にやめない徹底的な清掃
・危機的状況にも関わらず、戦線放棄
・脱出できる状況になっても脱出せず
※その他、謎のコーラ(エナドリ?)、無睡眠、ミニゲームでの興奮、そもそも無口すぎる等

例えば、何故アニマトロニクス達が襲ってくるのか、この施設の過去はなんなのか、そういったストーリーは一応説明されるわけです。一方で「主人公が無双する」という作品の根幹部分の設定に関しては説明なし!いや、背景設定なんかより、主人公の方が気になる!!
なんであんなに強いのか??そもそも、なぜ戦うのか?
普通襲われたらびっくりするじゃないですか!それが、逃げ惑うでもなく、疑問に思う訳でもなく、当たり前の様に立ち向かってる……!?何故!
百歩譲って「あ、俺嵌められたんだ、ここは危険な場所なんだ」って思ったとして、生き残るために戦うしかない!となる流れはわかりますが、そうすると今度は馬鹿正直に掃除する理由がなくなるわけですよ。
第三者から、ここは危ないから出た方がいい!と警告されているのにそれを無視するのも理由がないとおかしいですし、あまつさえ危険な屋内に入ってきてまで助けてくれようとしているのに、それに対する意思表示が一つもないのはさすがにモヤモヤしました。
「いや、言われたことはやり遂げないと気が済まないから出て行きたくない!」とか「やられたらやり返すだけだから俺はここにいる!」とか、適当な理由すらなく、コミュニケーションも取れないのはどういうことなの?

目の前に次々襲ってくる予定の敵がいても、事前に破壊しようとはしないし
何がなんでも「襲われてから」襲い返す
そのルールは何???

明らかに共闘ムーブなのに、休憩のアラームが鳴ったらそそくさとナイフだけ渡して自分は休憩室に戻るし
ついでに言うなら、休憩中は絶対に襲われないのも謎だし、謎が謎を呼ぶ設定。

◆主人公考察①
【主人公=殺人鬼】説

ネットで見かけた考察①
見ている途中自分でも少し思いました
強迫観念的な時間主義とか、清掃の徹底ぶり、殺人マシンたちに対する暴力性なんかからこの説を連想しましたが、それでは説明しきれない違和感。次の説の方が納得度が高いので、どちらかというと次かなと思っています。

◆主人公考察②
【主人公=ゲームの主人公】説

こちらもネットで見かけた考察
こちらの考察に即して考えると、主人公に対する違和感に大体説明がつくので個人的に推している説です
……が、同時に「それは、ゲーム設定だったとしてもちゃんとやってほしいんだけどな……」と思ってしまう部分があまりにも多いので、どちらにせよモヤモヤはします。まあ、監督はゲーム主人公をなんとなく意識したんだろうな、くらいの感覚です。

例えば、主人公が喋らない点
喋らないといえば、ゲームの主人公あるあるですよね。最近は喋る主人公が多いのですが、ちょっと前までは、主人公は一言も喋らないで、周りの人が一方的に喋る事で物語が進行するゲーム、よくありましたよね。

人形が暴れ出しても冷静に対処する姿なんかは、
中にプレイヤーが入ってる無個性主人公にありがちなムーブ
普通に考えたらびっくりしたり腰が抜けそうなものですが、プレイヤーは「そういうものだ」ってわかってるから、間髪入れずキャラクターを操作して目の前の敵を倒していくものですよね
ただ、これも、最近のゲームではちゃんと戦うまでの理由づけがされたり、反応を描くのが一般的なので、ゲームの主人公だよと言われてもやはり若干違和感があります

●ボスを順番に撃破

ボスを1人ずつ撃破していくのなんていうのは、かなりゲームのシステム的なご都合を思わせます。
しかし、実際のゲームだったとしても、順番に現れるから倒すしかないというのはわかりますが、今後襲ってきそうな敵が目の前にいるのにスルーするというのは流石にないのでは?
襲われる前に襲って片付けてしまおうというのが大体の人の心理のはず。ゲームシステムの都合を隠すために、一体ずつしか撃破できないそれらしい理由をいかに付けるか、というのが、ゲーム脚本の上手さだと思います。最近はそういったゲーム的なご都合(例えばチュートリアルとか)を丁寧にストーリーに落とし込むのが上手いゲームが多いですよね。なので、ゲームを意識したからといってそのあたりの矛盾をなおざりにしていいわけではないと思うのですが……(特にゲームを意識してなかったとしたら尚更です)

出た方がいい危険な場所だと言われているのに出ていかない。逃げられる状況になっても逃げないのは、ゲームクリアの目的から外れてしまうから……?これに関しても、もしゲームを意識しているのなら(いや、していなくても)何かしらの理由づけが欲しかったなと思ってしまいました。

●休憩タイムの意図は?

1時間ごとの謎の休憩タイムに関しては、ゲーム的な都合といわれても謎……。
ゲームとゲームの間のミニゲーム?うーん
最初は、休憩時間なのに(ピンボール台を)掃除してるのは何故?って思ってたけど、遊ぶためですね
また、遊ぶたびにテンションがおかしくなっていくのは何の表現なのか……
最後の方はラリってるみたいになってて、笑えるシーン?なのかもしれないのですが、私としては見ていてなんだか怖かったです。
ギャグ映画はギャグ映画で嫌いじゃないのですが、このピンボールシーンを筆頭に、演出意図があるのか、ギャグ的なノリでツッコむ所なのか、ただ単に雑なだけなのか、演出意図が掴めない表現が多々あったので、なかなか馴染めなかったです。

●ドリンクの謎

ところどころで強調される炭酸飲料の演出も何なのかわからず。冒頭から車に大量に車に積んでいて、袋でパーク内にまで持ち運び、時間定期で摂取するあれはなんなんでしょう。
殺人鬼説で考えると麻薬とか、それに準ずる中毒アイテムかなと思いますが、ゲーム説で考えると回復アイテムとかなんでしょうか。何を表現しているのか、中々に謎です。

●5 nights at freddy's

実況とかプレイ動画界隈でひと昔に流行ったホラーゲームです
ホラーゲームは苦手なので、あんまりちゃんと見たことはないのですが、ゲームの雰囲気と映画の雰囲気、どことなく似てるんです。
自分としてもなんとなく連想しましたし、他にも結構「5 nights at freddy's」を連想したという方がいらっしゃいましたので、という事は、作者様も意識したのかなと思いました。
公式の映画化ではないので、諸設定は全然違う感じにしたけど、雰囲気は寄せた感じなのかなぁと

この辺りも、主人公=ゲームの主人公を意識した説の根拠になっております

◆ストーリーについて

冒頭で捕まっていた少女リブの正体(過去の被害者の生き残り)ですとか、親代わりの保安官ルンドの二律背反(生贄は出さなきゃいけないけど娘の様に育ててきた少女は守りたい)なんかの設定、悪魔的な儀式でマスコットキャラクターに魂を移した殺人鬼たちに、生贄を捧げることを決めた街の住民……といった舞台設定等は意外とちゃんと?(無駄に?)作られていてびっくりしました。
しかしながら、全体的にチープさが目立つ設定のスカスカ具合が災いして、逆に設定を上手く活かしきれず浮いてしまってるなと思えてしまったので残念。凝るなら凝って欲しいし、凝れないなら最初から入れないでよかったのになぁという。作風に対して、心理描写の深さや状況に対するリアリティが圧倒的に足りなくて、登場人物の行動の大部分に共感ができません。たとえば、ルンド保安官は、生贄に賛成はしていて諦めてはいるけれど、それに罪の意識を今でも感じていて、リブを育てることでせめてもの罪滅ぼしをしている。今ではリプは自分の娘の様に思っていて、危険からは離れて幸せに生きて欲しいと思っている……?という解釈……でいい?と思う……のですが、やはり、そのあたりの描写が圧倒的に足りたいんです。人間関係が無駄に複雑なので、リブはルンドさんの事をどう思っていて、なぜ施設を燃やそうという決心に至ったのかとか、ルンドさんはリブのことが本当に好きならら、どういう気持ちで作中の行動をとっているのか、深掘りしようと思えばいくらでもドラマが作れる設定なのに、やけに浅くて表面的。実際深掘りすればするほど映画のノイズになると思うので、だったら最初からそんな凝った設定いらなかったんじゃない?と思えてしまって、結果、全体として雑な映画に感じられてしまいました。

●火をつけて燃やそうとする行動原理が謎

リブ率いる青年団は、施設を燃やして怪物を根絶やしにしようとしているわけだけれど、それが有効ならなぜ大人たちや街全体がその措置を取らないのか。逆に効果がないのなら、なぜ青年団を理論的に説得しないのか。効果がないとわかっているなら、青年団を放置するのは、アニマトロニクス達を怒らせる危険がありますよね。それは火に油を注ぐだけですし、それで子供達が施設に近づく方が危険です。
加えて言うなら、リブ以外のメンバーが怪物討伐に対して真剣さに欠けるのが気になりました。本気なのはリブちゃんだけ?

冷静に手錠を外すキャシーちゃん、結構いいキャラだなと思ったのですが、残酷な殺人現場のバースデールームに興奮してその場でボブと致してしまうのは……なんというか、ホラー映画の定番をやりたいがための演出に思えてしまって、怖くもないしドキドキもしないし、目を覆いたくなる様な残忍さもないし、何に対しても効果的とは思えなくて、謎。
ボブはどれだけ性欲に弱いんだって思いましたし、残酷な殺人現場に興奮してそこを会場に選ぶキャシーは、むしろ最中の男が襲われて死んだらそれに興奮するくらいぶっ飛んでいて欲しかったです。
殺人事件血みどろ快楽女と、無機質サイコマシーンの主人公が無双するウィリーズワンダーランドも見たかったなぁ

●舞台となるウィリーズワンダーランド

稼働してた時は人気施設だった様ですが、行きたい!と思える様な設備は確認できませんでした。
バースデールームも、雰囲気がいい?のとケーキが出てくるだけの部屋で、食堂やショーはそれっぽいけど、それ以外のアトラクションって一体何があったんだろう?若干謎。
ゴムボールのプールのおまけ程度の規模、託児所ならまだしも、娯楽を目的に人を呼ぶのにはあまりにも狭すぎて笑いました。
妖精の森に関しても、雰囲気が空っぽいだけのただの広場?
せっかくなんだから娯楽施設らしい設備やギミックがあって、それを生かしたホラーや戦闘も見たかったなぁ。

●町の人の決断

パークを閉鎖したら、殺人鬼が町に出てくるようになって殺人を犯すようになったところまではわかるんです。
ただ、その解決策として、町ぐるみで生贄を捧げようとするのは若干急展開では????
その決断に至る前にもっとやることあるでしょ、それこそ施設焼くとか、潰すとか笑
それができない理由が描写されないと、いやいやお前らもっとちゃんと対策立てろよ、と思っちゃいます。

●結局ニコラスケイジ無双がいちばんのネック

結局主人公が1人で全員撲殺しちゃうあたりに一番違和感を感じてしまうのが、結構な問題点かなと思うのです。
というのも、例えば「街全体で共闘しても倒せない脅威だったから生贄制度にした」と言う設定が裏にあるのだとしたら「何故そんな強キャラを主人公は素手で倒せるのか」と言う疑問にぶち当たるわけで、「世界最強の男」とか、「何かしらの理由で弱点を見つけて破壊」とか、理由づけがないと不自然なわけです。
逆にニコラスケイジが特異なキャラクターじゃないとしたなら、「じ暴力で解決できる程度ならば、武装したり車とかで轢き殺せばよかったじゃん」と思うわけで……

演出の問題はもちろんですが、ホラー映画?然とした表現として、アニマトロニクスは神出鬼没で物理法則を無視したような出現やトリックを使ってきますよね。悪魔的な儀式があるオカルトな世界観なのでそれは納得できるのですが、ニコラスケイジと対面した瞬間肉弾戦しかできない機械の塊になるのは何故なのか。

後半でルンド保安官が殺害されるシーンはかなり決定的で、アニマトロニクスには、人間を胴から真っ二つにできるほどの圧倒的な破壊力が備わっている事が判明します。
つまり、パンチや蹴りを一発くらっただけで内臓が破裂したり四肢が吹き飛ぶくらいのパワーや武力があると言うこと。なのに、対ニコラスケイジになった瞬間パワーダウンするのは、どうして!!ꉂ🤣𐤔!笑

それがこの話のコアなのはもちろん存じておりますが、どんなネタ映画でもやっぱりある程度の辻褄合わせは欲しい!!

●テックスとジェド

今回の戦犯とも呼べる2人。修理屋と管理人ですが、生贄を捧げるためにわざと車をパンクさせ施設に送り込んでると言う話。車を修理したのは、使えるようにして管理人のコレクションに加えるというのはまあわかります。(実際は失踪車なんで乗り回してたら町ぐるみの犯罪がバレるからできないだろうけど)
ただ、律儀に約束の時間にパークに迎えにくるのは、何故なのか
普通に考えたら「万一生き残って脱走されていたら困るから、死体を確認しにくる」というのが妥当かなとは思いますが、そんな説明も様子もなかったですよね
細かいところまで違和感なく演出してくれる繊細さが、この辺りからも感じられませんでした

◆最終総評!!

ネタ映画としては無駄に凝ってるせいで粗が悪目立ちする映画

見どころはほぼほぼニコラスケイジのみ
破壊シーンは最初は爽快感があるけど、一辺倒なので後半はダレる
ストーリや展開はあるようで無い
オチにカタルシスは感じず

うーん、こんな映画でも多分下手な映画よりは全然再生数多いんだろうなって思うと、バズりって大事なんだなと思いました。1人で見るよりも、友達と突っ込みながら見た方がいいのかも。これくらいカオスの方が、真剣に見なくていいし、話わからなくなることもないし、ノリでツっこんで楽しめるし、いいのかなぁ。

主人公がニコラスケイジじゃなくて「ニコラスケイジの無駄遣いwww」というネタ的な話題になってなかったとしたら、それはそれでここまでバズってなかったんじゃ無いかなとも思うので、そう言う意味ではキャスティングは成功してた気がします。

音楽を使った演出はかなりセンスが良かったので、プロットや周りが詰めきれてなかったのが残念な映画でしたが、気になる方はぜひ友達とポテチとコーラを用意してツッコミながら鑑賞してみてください




【参考】

https://coffeeofroadrunner.com/willys-wonderland-movie/#toc4

https://himatsubusi.work/archives/2831/【考察】「ウィリーズ・ワンダーランド」(ネタ/

https://note.com/siiba_isaku1995/n/n64b170e3186c
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