かつきよ

コードギアス 復活のルルーシュのかつきよのレビュー・感想・評価

4.6
復活のルルーシュ感想

ついに鑑賞したルルーシュの正統派続編!!
「亡国のアキト」が、アニメルルーシュシリーズとは違ったテイストで個人的には肩透かしを喰らってしまった過去がある+ルルーシュはやはりアニメ版で完璧に完結しているので、そんなに期待しないで鑑賞しました。

しかし、結果的には見てよかったなと思えた映画です!
作画や展開のクオリティは十分担保されており、最後もちゃんとスッキリと終わるので鑑賞後感も心地よいです。様々なキャラにきちっと見せ場があって、活躍が見られる点、今回メインで活躍しないキャラクターであってもその後がわかるカットも挿入されており、連続アニメ版の先の世界が見られるという点でも、間違いなく価値がある映画でした。

こんなにもクオリティが高く安定した作品なのに、賛否両論意見が割れる理由の大部分は一極集中、アニメ版R2のラストが完璧すぎたという点だと思います。
R2ラストでルルーシュが死亡したことで、衝撃的かつ鮮烈で美しく、パズルのピースがカチッとはまったような終わりを迎えた作品でしたので、単純な物語全体の完成度で言えば、あそこで終わってた方が断然良かったのは事実だと思います。「実は生きていた」設定、蛇足といってしまえば、蛇足です。

ただ、R2で完結しているものの続編を作ろうと思うと無理が出るのは承知でしたので、個人的には「R2」までのアニメ版の世界線と「復活」までの劇場版三部作は並行世界であり、今作は公式生存IF (ファンディスク)として見ると納得なのではと感じました。R2の世界線はあれはあれで完結したままでいいんじゃないでしょうか。

肝心の「なぜルルーシュが生存してたか」「どのようにしてルルーシュが復活したか」の後付け設定に関しては、個人的にはこじつけ感も思ったより少なく、あの世界観なら十分にあり得そうな説明でまとめられたなぁと感じたので、文句はありません。

続編を作る、ルルーシュを復活させるとしたら……という観点から、ファンが見たかった展開全部詰め込んでくれたな……というのがまず最初の感想。
他の方の感想を見ていくと「ああ、確かにそれも欲しかった」「それもやってほしかった」ということはちらほら出てきますが、それはそれとして劇場版の限られた時間の中に需要と供給が山ほどつまっていたと感じました
正統派続編としても、ファンディスクとしても、エンタメの1作品としても個人的には大満足で、制作の熱意と愛とファンへの感謝を感じられる作品でした。

R2でよかった、あれで終わりでよかった
と思って素直に見られないファンの方がいるのももちろんわかりますが、昨今ではIF世界とか別バースなんていう概念もかなり一般的になっておりますので、是非ともそういった視点で作品を見て、ファンサービスを素直に楽しんでほしいなと感じました。

以下で、詳しい内容についてネタバレ有りの感想を垂れ流していきたいと思います。









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※ネタバレ有り



















⚫︎ルルーシュの復活とラストの生還

今作で一番無理が祟ってたところ笑
とはいえ、前述の通り、「ルルーシュはコードを継承してたから不死身」「しかしそれが不完全でこんなかんじ」というのは、あの世界の設定を考えたら全然ありそうなので個人的には全然納得してます
体は生きてるけど眠ったまま、とかでもよかった気がしますが、謎の幼児退行には震えてる視聴者が多い印象笑
それよりも、怠惰なイメージとは一転して、今作では献身的にルルーシュの世話をするC.C.の母性と愛が深すぎました。本来はああ言った慈悲深さや献身性があったのでしょうが、あんなんされたんだろうなって思ったらそりゃマオもC.C.に依存しちゃうのもわかるというレベルですので、ダメ男生産をしてしまった過去からもそう言った一面を封印していたのかなというのは想像に難くありません。

復活のシーンは、まあ復活するとは確定で分かっていても、やはり盛り上がるものがありますね
ルルーシュの戦略で一気に形成が逆転するこの盤上劇
あーーこれが見たかったコードギアス作品だ〜
と、心潤いました

話はとんで、ナナリー再会後からCの世界に落ちた後の復活ですが、あれはさすがにご都合展開臭笑
しかし、まあ、最後だし、ファンディスク的な作品にここまできたら望むのはハッピーエンド一択なので、もうなんでもしてくださいという気分でした。

⚫︎ルルーシュと残された人たちとの再会

見どころその2といえばやはりココー!!

・カレン
カレンは、学生感というか、思春期な感じが抜けてかなり大人びていた印象です
ルルーシュへの感情は、恋愛超えて愛情みたいなものに変わってる気がしました
色々あって恨まれてたり険悪な感じから始まったら嫌だなと思ってましたが、ヒロインの1人として安定感のある信頼関係で結ばれている感じがやはり、良いですね

・スザク
初手殴りで、うぇええー!!?とびっくり
泣きながら抱きしめて、よかったぁ!みたいな感じだと思っていたのですが
まあまあ、スザクの気持ち考えたら、そりゃこうなるかと一拍置いて納得。考えれば考えるほどルルーシュをボコすのはスザクらしいですね。こういうところあったなぁ
しかし何より、最初は爆発したけど、「君がいない世界は孤独だった」とまで言わしめる2人だけの友情を超えた絆はしっかりと描写されており、この2人が勘違いや軋轢、離別なしに再会できる世界線があることに感謝

・ナナリー
ナナリーとの再会は、ある意味アニメでは果たせなかった最大の心残りですよね
騙すことなく、すれ違うことなく、本心そのままの兄妹の再開……!!!
スザクやカレンとは違って、ナナリーが囚われのヒロインになることで「ナナリー奪還」というわかりやすい構図を作って、他の誰でもなく、ナナリーとの本当の意味での再会というのをラストの見せ場に持ってくるのはとても良かったですね
ルルーシュの生きる理由、叛逆の理由、その他物語の根幹に関わる全ての理由はナナリーに集約されていましたかから、兄妹というのはもちろんですが、他と一線を画する特別なヒロインなのは間違いないわけです

そして、今回の囚われのメインヒロインポジションにおいて、再会をラストの見せ場に据えておいて!!!

ラストのラスト、なんのわだかまりもしこりもないクリーンな間柄になれて、一緒に暮らしましょう!と言われている状況において「ナナリーはもう1人で大丈夫」といってC.C.を……選ぶ……ルルーシュ!!C.C.エンドは今作最大の見どころかと思いますが、ナナリーとの関係性もしっかりと描くことで。展開に厚みが出ますよね!!!!!

⚫︎ロイドさんとセシル

思ったよりメインメンバーとして活躍していた2人!
ルルーシュといえばキャラクターの膨大さ!
魅力的なキャラクターがたくさんいる中で、特に抜擢されたのがこの2人ってことは、結構人気高い2人だったのかなぁ
確かにこの2人いいキャラしてるもんなぁとは思います
ラクシャータ含め3人の関係性もいいですしね
ロイドセシルの2人はもう安定した夫婦感があって、恋愛というよりはコンビだと思ってました。ロイドさんに関しては、会長との縁談話なんかもありましたし、あれはあれで好きでしたし。あんまりカップリングとして認識していませんでしたが、今回はセシルさんがまさかの致命傷でヒロイン力の増大に伴い、この2人のカップリングありじゃんと、見えました

ラクシャータさんも秘蔵っ子たちの秘密の能力開発みたいな新しい設定が
相変わらずサブにしとくには勿体無い存在感でしたね

⚫︎コーネリアとの共闘

これも、みんなが見たかっただろうやつー!!!
スザクはもちろんですが、ユフィショックはコーネリア様とルルーシュの埋まらない溝を作ったよなと

しかしながら決別したままではおしすぎる、かっこよくて、気高くて、絶対に共闘してほしい腹違いの姉!!
さすがにすぐに和解とはいきませんでしたが、それでも共に敵に立ち向かう展開は本編では見られなかった最高の展開!
言葉巧みに騙したり利用するのではなく、仮面を外して正面からの懇願をするルルーシュ
こういった関係性の清算は、本編ではできなかったこと
見応えがありました

コーネリア様単体としても、vs英雄のシーンは騎士道のかっこよさとかっこよさのぶつかり合いでかなり見所があったので大満足でした。

⚫︎vs新ギアス

新作ならば必ず見たい展開!よくやってくれました!

今回の敵、予言の力ということで、どんなギアスなんだろうと思いきや。まさかの死に戻りギアス能力者!!
何度ルルーシュが上を行ったとしても、その度に死に戻りをして対処されていく
最強のギアス能力じゃないですか!?
どうやって勝つんだろうと、かなりわくわくしちゃいました

どんな作戦を立ててもそれが筒抜けで、絶望する展開もきっちりとあり、そこからの復活のシーンでC.C.の言葉がトリガーになる流れは説得力があって良かったです
「わがままな女だ」ƪ(˘⌣˘)ʃヤレヤレ
な感じは、あーー当時見てたルルーシュだーとバチバチと感じたシーン
今見ると歴代作はネタされるぞというレベルでかなり厨二病だなと思うのですが、でも色褪せない面白さなのはすごい

それにしても、22通りのパターンを思いついて、それが全部成功して確実にシャムナを追い詰めているのすごすぎませんか??
死に戻り想定込みで、詰将棋のように膨大な作戦を並行、連続展開していくルルーシュ、天才すぎます
この能力バトルのシーン、ダイジェスト気味だし、もっとガッツリ応酬を見たかったという感想も、なるほどなとは思います。しかし尺の割き方的にも、まあまあちょうどよかったのかなと思いました。だらだらやられるよりはね
若干物足りなしありましたが!
ラストのラストでハッタリで能力の発動条件を聞き出してしまうところまでも鮮やかすぎるので個人的には大満足です

●ギアスバトルについて

感想考察なんかを見ていると、ギアスバトルについて「???」を唱えてる人がちらほらいられます。ルルーシュも死に戻りのギアスの影響を受けてる?とか、未来が見えてる?とか
個人的にはもっと単純な構図だと思っているのですが

ルルーシュは作戦Aを展開してシャムナを圧倒します

シャムナは死に戻りします

シャムナが作戦Aを潰します

ルルーシュは作戦Bを展開してシャムナを圧倒します

シャムナは死に戻りします

シャムナは作戦AとBを潰します

ルルーシュは作戦Cを(以下無限ループ)

ってことなのではないかと
そしてその行き着いた先の最後の作戦が、ハッタリで発動条件を聞き出す死に戻り想定の眠らせだったのではと
詰め将棋みたいな(詰将棋がなんなのかは知らない)

なので、視聴者視点から見るとループしている構造ですが、ルルーシュ視点からするとただ22パターン想定に対応した各作戦のトライアンドエラーをn回重ねて行っただけと言う

死に戻りを完封するルルーシュ無敵か???

⚫︎ジルクスタン

新キャラか〜となんとなく思っていましたが、蓋を開けてみればかなりしっかりとした設定とキャラ付けがされていて、なかなかにいい設定揃いだったと思います。ルルーシュが作った平和な世界では立ち行かなくなる傭兵で成り立っている国、というのはなかなか風刺じみていてよかったです。劇場版の後付けだからと言って、このあたりのねじ込み方、設定の練り方が雑だと萎えるんですよね。
その点、「平和になった世界」に対しての傭兵の国。EDあってこその設定、もっといえば、cの世界が閉ざされたからこそのナナリー奪取と、今回は敵の目的や行動原理にも説得力と必然性があって、本当に丁寧に作られた映画だなと感じました。

・シャムナ

シャムナは上記で述べた良さの最たるものが詰まっておりますよね。姉であり、国のためという体裁をもちつつ、その実は国のことは二の次で「弟のため」というのが最上位の戦う理由になっているのは、まんまルルーシュの対比で素晴らしいなと感じました。ギアス能力の絶対優位と穴も絶妙ですし、ルルーシュじゃなきゃ倒せなかったなと思わせる強敵で魅せてくれました

・フォーグナー

すごくカッコ良いキャラクターだったので、vsコーネリアは連続アニメだったらまるまる1話かけてじっくり見せて欲しかったところ。映画の尺を考えると、立場的にもあれが限界だったのかなと思いつつ、やることはしっかりやってくれたと思います。ルルーシュはもちろん、カレンやスザク戦の方がウェイトが高くなるのは必然ですもんね

騎士道vs騎士道という感じで、負け方までカッコよかった。敵ながら、国民から信頼されてる英雄ポジなのはずるいし、かっこいいし、好きになっちゃうじゃん……とおもったら、ラストでは国王に就任し、連盟結んでましたね。キャラクタの立て方や扱い方も素敵だなと思える演出でした

・シャリオ

キャラデザインも惹かれるものがあるし、その生き様も壮絶でしたね
戦うことが生きることだと言わんばかりの国に生まれ、下半身不髄で自由に動かせるのはむしろ機体だけなので機体の操縦に長けている
おまけに予言の力で、こりゃ強くて当たり前だわと思わせてくれる圧倒的な強キャラでした

⚫︎戦闘シーン

新機体かっこいい!と思いますが、やっぱり見たいのはあれだよなぁ
と思ったらまんまとやってくれましたね
見応えがあって最高でした

⚫︎L.L.

C.C.の笑顔のためだけに見る価値があったとまで言わしめた告白シーン
最高すぎました
最初あれが告白とは気づかず、見た後にラストの意味を検索してしまったのは考察好きの端くれにも置けない失態だったと思います笑
今までも告白じみたセリフは散々言ってましたからね、お前が魔女なら俺が魔王だとか、笑わせてやるとか
終着点として、C.C.へのプロポーズとして、ルルーシュからしか出ないセリフ、何度考えてもこれしかないなと思います。この脚本打った人は天才ですね
コードギアスってやっぱり面白いんやー

⚫︎その他

・地味なイケメンお兄様、ちゃんと国政してましたね

・シャーリーは生存に対して今回はそんなに活躍してないのが意外でした
やはり正史(というと語弊がありますが)では死んでいるので、活躍させるために生存させたというよりは、生存も望むファンが多いのでファンサの一環なのでしょう
せっかく生存したのに、という気持ちはわかりますが、このあたりの扱いが妥当かなと

・扇夫婦元気そうでなにより

・会長夫婦も元気そうで何より
こういうアフターストーリーが垣間見えるのは最高にいいですね

・オレンジくんとアーニャもほっこり

・これ以上ないくらい満足だと思っていましたが、ユフィとスザクをcの世界で合わせてあげて欲しかった、という意見があって、確かにーーーーと

しかし、ホイホイ会えてしまったら死の重みもなくなってしまいますし、死んだものは死んだもの、その境界線は越えない演出は、よく考えると好感が持てます

こういう要素を何でもかんでも拾って、全てファンの好きなようにハピエンにしてしまうと、途端に公式が二次創作臭くチープになってしまう、、、ということもあると思うので
ユフィ関連もやって欲しかったなぁ
とままならなさを抱えてしまうくらいがちょうどいいのかな

とにかく、本当にいい作品でした
製作者の皆様に、感謝……!の作品です
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