かつきよ

映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズのかつきよのレビュー・感想・評価

3.5
面白かった〜!!
端的に言うとアニメの総集編。

ただ、アニメ版を別の角度から紐解く、というと聞こえはいいけど、総集編がメインでほぼ使い回しのシーンが多いので、新規映像の比率はそんなに多くはないです。

◆アニメ未鑑賞にはお勧めできない

尺の都合でアニメの内容はかなり端折られていて、アニメ版とは温度感やテンポ感はもちろん、情報量も全くもって変わってしまうので、初見の人が映画から入るのは全然お勧めできません!事件の全貌を把握するなら断然アニメ版。え、そこはしょっちゃうんだ?みたいなシーン結構あったので未鑑賞の方は気をつけてください

なので、今作はアニメ版見てハマった人のための、補完とか補填とか、ある意味ファンディスク的な作品であり、真EDが見られるという意味では完結編的な作品でもあります。

しかし、ライトファンが見て楽しめるかというと、結局アニメからそのまま持って来たシーンが多いので、「ただの総集編じゃん」「最後だけで良いよ」という不満が聞こえて来そう。

熱心に見て考察を楽しんでいた勢が、キャラがどんなことを考えていたのかの答え合わせや深掘りって点で楽しめる、アドバンス作品だと思ってください。

◆構成

ある調査チームが、主要人物にインタビューしていくという新規シーンを軸に、各キャラクターの回想という形で本編映像がなぞられます。

アニメ本編では基本的には主人公の小戸川さん視点でしか描かれない物語を、他のキャラクターから語られることによって「あの人あの時そんなこと考えてたんだ……」「あの表現ってそういうことだったんだ」「あの人とあの人の繋がりってそんな感じだったんだ」と新事実が確定する箇所も多く、アニメ版時点で謎のまま未確定になっていた要素のアンサーになっている情報も多かったです。

その最たる例がラストの追加シーン。
アニメ版では、ラストはかなり中途半端なところで終わり「え?この後どうなったの?」と思う人が多かったと思います。この作品では、ラストシーンの続きが直接的に描かれているので、オッドタクシーという作品の真のラストを見るという意味では必見。

一方で、ラストはラストで「え?どういうこと?どうしてそうなったの?」と情報が中抜きにされている部分もあって、補填の内容がさらに虫喰いになってるというある意味意地悪な作品。
だいたい考察は出ているので概ねこんな感じかなという展望は持てますが、実際のところどうだったのかというのは今後別メディアでまた補完があるのかないのか。

◆多種多様なメディア展開

元々オッドタクシーはアニメ版の時点でさまざまな仕掛けが施されていて、注意深くみてみると、スポットは当たってないものの裏でどう行動していたのかが細かく設定されているキャラクターが沢山います。

わかりやすいところだと、アニメと並行して配信していたyoutubeでは、麒麟の彼が盗聴器で回収した音声を垂れ流すチャンネル放送風の配信が行われていました。
ほとんどはそれこそファンディスク的なキャラクタ同士の他愛無いやり取りなのですが、初期から今聞くと「うげ!?」と思うような真犯人・真相のヒントになるやり取りが公開されていたり、他で暗躍するキャラクタの動向に触れる重要な情報が明らかになったり……
最後の終わり方もかなり物議を醸す感じで、え?このあとどうなったの??と思わせるような内容でした(今回の劇場版ではラジオのラストに対するアンサーも行われておりました!)
ファンならば必聴の内容ですので、映画版みようと思ってる方でまだ見てない方は是非

今回の劇場版でも、本編では存在はしたけれど役割までは伏せられていたキャラクターの動向が明らかになり、使い回しシーンは多いとはいえ、この映画でしかできなかったであろうという描き方はされていたと思います。

しかし、作中要所要所で登場する意味ありげな車については今作でも言及されず。他にもこういう要素ってたくさんあるんだろうなと考えると、一体どれほど練り込まれたアニメだったんだとゾッとしますよ。そのうちまた、違う角度から物語を描き出すメディアミックスが登場するのかなぁと。まだまだ出し切ってはいないだろうな、というのは感じました。

◆情報の取捨

尺的にしょうがないとはいえ、ガチャ廃君のストーリーはアニメで色々と衝撃的だったので、あそこがごっそりと抜かれてるのは残念。
重要度別で整理すると、まあ、抜くとしたら彼かなぁとは思うので納得できないわけではないのですが。
一方で、割と重要そうなのにガッツリ抜かれていて、劇場版を見ると存在自体なかったことになっているキャラクタもいます。
これは明らかに製作者側の意図的な演出だと思うので、その辺も考察が捗りますね。
何はともあれ、確かに本編の別角度からの真相ま明かされるわけですが、一方では本編では明かされていたのに今回は隠れている情報もあるわけなので、どちらにしろ両方見ないと全貌は見えてこないという構成になっているのはオッドタクシーらしいなと思いました。

◆総評

ファンならば見る価値あり!特に時間のない方でもED部分にあたる顛末は見て欲しいですね。じゃないとオッドタクシーという作品を鑑賞しきりましたとは言えない意地悪な構成です

一方で、使い回しのシーンも多い、半ば総集編的な構成だったために劇場まで足を運んでみるほどの作品なのか?という点には疑問です
今はアマプラで見られるので、そこで気軽に見るくらいがちょうど良いなと個人的には思いました


以下、少しネタバレ感想















ーーーーーーーーーーーーー










※ネタバレあり






















◆インタビューアー3人

正体には愕然
ウサギとネコの玲奈と花音については樺沢様と寝てたり、ちょいちょい出て来ていてアニメの頃から暗躍してる伏線があったんですね

一方でもぐら君の方は完全に予想外
伏線とかはなかったと思うので、完全に「意外な繋がり」狙いのキャスティング
もぐら役の声優さんとかは、こんな展開があるってアニメ版の時から知っていたのでしょうか
もぐら君に関しては、ソシャゲや消しゴムのストーリーが映画版では全くないので、どちらのメディアも見た人にしか繋がりがわからないんですねぇ
中の人、知らなかったとしたら、総集編で自分のセリフの多さにまずはびっくりしただろうなぁ
映画がするくらいTV版がヒットして良かったですね!

◆最後は結局どういうことだったのか論争

小戸川さん生きてるし、捕まえたのかな?とは思ったけど、カキハナさんが表彰されていたり、その後楽しそうに猫ちゃんと過ごしていたところからも、真犯人を捕まえたのはカキハナという考察が個人的には納得いってます

本編では醜態しかさらさずに、好感度上がるようなことが全くなかったカキハナさんですが、せっかくの好感度上昇イベントなのに考察しないと理解してもらえないほど小さな描写しかないのは可哀想すぎますね
スタッフ、もっと優しくしてあげてください


◆小戸川と白川さん

めでたくゴールイン
なんだかんだ白川さんはクズ男好きのダメンズウォーカーで、猿と復縁するもんだとばかり思ってたのでラストの展開はびっくりしつつ、素直に祝福です

思ったより人間体の小戸川さん地味メンなので、動物だったらまあまあ愛嬌あるなと思ましたが……カップル間の顔面偏差値えぐすぎない?とは思ってしまいましたが笑

愛があればOKですね!!

動物園デートにて、小戸川はアルパカが好き、という発言がありましたが、白川さんを好きになったからアルパカが好きになったのでしょうか?それとも、もともとアルパカが好きだったから、タイプである白川さんもアルパカに見えていたのでしょうか?
どっただとしてもキュンとしますね❣✨


【参考】

⚫︎
https://filmaga.filmarks.com/articles/161452/

相変わらず解像度が高く、解説考察共にクオリティが高いフィルマガ

⚫︎
https://todays-yunko.com/anime-oddtaxi-in-the-woods-consideration/

かなり熱い考察・解説サイト
画像などもふんだんに使って、細かいところの解説や考察を行ってくださっています。筆者は多分相当なオッドタクシーファンの方だと思います。細かいところまでよく観察している上に、他のメディアミックスについても触れてくれているので、オッドタクシー好きな方であれば一度この記事に目を通してほしいと思うくらい、質量のあゆ記事でした!
かつきよ

かつきよ