滝和也

眼には眼をの滝和也のレビュー・感想・評価

眼には眼を(1957年製作の映画)
3.9
童心から帰ってきました。
で、トラウマ系映画。
ハムラビ法典って知ってます?眼には眼を、歯には歯をって言う確か古代バビロニアの法律。題名読んでの如し。まさにそれなんです。約20年前のサスペンス評価の本では高い評価。更に町山さんのトラウマ映画館でも掲載されやっとDVDが流通し、見る事ができた作品。

でも落ちてる時に見ちゃいけません。いや~な感じが延々続く上に、ラストは映画史に刻まれるほどの寂寥感が来るという…。

クルトユルゲンス演じる医師は夜勤を終えて帰った。自宅にアラブ人の男が妻を助けて欲しいと訪ねてくるが疲れと器材もなく断り、病院に向うよう言った。だが翌日、病院に行くとアラブ人の妻は亡くなっていた…。車がエンコし手遅れになったらしい。その日から彼に妙な出来事が起こり始める…。

これ段々エスカレートしてきます。アラブ人フォルコ・ルリは普通のおじさん。とにかく不気味…。この映画から欧州とアラブの断絶を感じるのは当然ですが、人の不寛容や理不尽を感じざる得ません。何ら救いもなく、絶望へと走る、降りることのできない超遅い機関車に載せられている気分です。ジワジワきますので。またそれに乗るのは自分かも知れません。ラストはうわっと呻くレベルでした。大して血も出ませんし精神的に来る映画。困ってる人は助けましょう。それしか言えません…。

追記 こんなものが60年前に撮られてるとは、アンドレ・カイヤット恐るべし。他のも見たいがないんですよ。どうしようかな…。
滝和也

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