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真夏の夜のジャズ 4Kのsoのレビュー・感想・評価

真夏の夜のジャズ 4K(1959年製作の映画)
4.0
写真家バート・スターンが撮った1958年ニューポート・ジャズ・フェスティバル。

さすがは新進気鋭の写真家。ジャズ・フェスティバルの記録とはいえ、記録の仕方が一筋縄ではない。
セロニアス・モンクの演奏中にはステージの上から身を乗り出してカメラを向けている男の姿を何度も写し、ビッグ・メイベルが歌う時には顔よりもそのピンクのドレスの腰のリボンばかりを写したり、「何で?」と思う様なところに度々カメラが向けられる。
しかし、なぜだかそれが妙にしっくりくるというか、不規則な目線がまるでその場にいるような臨場感を生んでいる。決まりきった目線でないからこそ、こちらも想像力が働くのかもしれない。
そして昨今のライブ映像でこんな客が写り込んだら即カットされるような、どうしてそんなに不機嫌なのかと気になってしまうほどにあからさまに不機嫌そうな女性や、ただ暇だったからきたんだろうなと思われるような眠そうな老夫婦の様な客も、楽しんでいる客と平等に写す。このニヒルな視点がまたかっこいい。

この生々しい会場の空気を肌で感じられるからこそ、夜が更けるにつれ駆け上がっていくボルテージも伝わってくる。
ダンスへと解放するチャック・ベリー、怪しい瞑想へと誘うチコ・ハミルトン、そして生への讃歌の様なルイ・アームストロング。
締めくくるゴスペルのマヘリア・ジャクソンも含め、後半が特に素晴らしく、ジャズやフェスティバルという枠を越え、皆で万物を讃え生きている事を喜び合う音楽の原点のようなものを感じた。

映画館で観る事ができて本当に良かった!
またかつてのようにフェスティバル等で大勢の人が集まり、音楽を共有し、喜び合える日が来ることを願うばかりだ。
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