ーcoyolyー

ナチュラル・ウーマン2010のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

ナチュラル・ウーマン2010(2010年製作の映画)
1.5
松浦理英子先生、本当にこれで良かったのでしょうか……?

まさかの二度目の映画化『ナチュラル・ウーマン』、最初の映画化の時に散々な目に遭った話は松浦理英子ファンの間では有名ですが、リメイクさせるぐらい嫌だったんだ……こっちは原作者本人も舞台挨拶かなんかに出てきて前よりマシ、みたいなこと言ってたのは記憶に残ってるんですけど、これで本当に前よりマシなの……?これでマシって前の小川たまきの方の『ナチュラル・ウーマン』どんだけ酷かったの……?

漫画家ではなく写真家になってるとかそういう設定変更は別に構わないんですよ。監督野村誠一だし。でもなんで私はあの私が愛した硬質で壊れやすい密やかな結晶のような文体で紡がれた世界観をこんなにも嫌らしく穢らわしい手で陳腐に貶められなくてはならないのか。私の宝物がどうしてこんなにズタズタに引き裂かれて踏み付けられて原型を留めていない犬も喰わないような映画にされてしまっているのかと悔しくて悲しくて腹が立って泣きそうだ。

私の人生の一冊は松浦理英子先生デビュー作の『葬儀の日』で、『親指Pの修行時代』より前の『葬儀の日』『セバスチャン』『ナチュラル・ウーマン』が私の礎となっている作品なので、私を支えてくれた小説三冊なので、私の核なので、これはもう今また三度目の正直で若い女性監督に、当事者であるような人に撮ってもらった方が良いのではないか。いるだろう、そういうことができる松浦理英子愛読者が。松浦理英子ってそういう人にそういう読まれ方してきた作家なの私が誰より知ってるよ。立ち上がれ!私が貴女の才能を心底求めてるから立ち上がれ!

私の文体は松浦理英子の文体を取り込むところから始まった、いわば私の命の出発点なので、こんな映画作られて公開阻止しなかった松浦さんにすら今私は怒ってるよ。自分にとっての最重要作家に対してまでこんな気持ちを抱かせる映画マジ許せねえですよ。私それなりに本読んできたと言っていいのだと思うのだけど、その中心にいるのが松浦理英子作品ですからね。思い入れなんて言葉じゃ言い表せねえですよ。何で私の最も柔らかい部分がこんなに辱めを受けなければならないんだよ……
ーcoyolyー

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