ーcoyolyー

エル・スールのーcoyolyーのネタバレレビュー・内容・結末

エル・スール(1982年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

あの男は特級呪物だからさ、あんなロミオメール送られて「クッソうぜえんだわブロックするわ」と返信送ってきた人だけじゃなくて出てくる女性陣は母親と乳母(ああこの人たちきっとものすごく訛ってるんだろうなと分かる話し方で、南の方の人のキャラクターのイメージって万国というか北半球共通なんですかね?とりあえず鹿児島辺りの方言に勝手に変換して理解してました)除いて全員さっさと縁切って自分の人生から追い出せば良かったんだよ、としか思えませんでした。

ほんとやべぇ関わると面倒臭いことこの上ないあの父親、かなりビクトル・エリセ本人を投影されてるような気がして、そういえば私今までビクトル・エリセの人格とか人間性とか考えたことなかったな、神秘的なヴェールの向こう側の人という世間の扱いにそのまま乗ってただけだったな、と気付く。人間的にはかなり『グッバイ、ゴダール!』で見せつけられたJLGに近いのかなもしかして。完全にnot for me案件だな。ああいう人間だったのなら寡作も寡作の理由が物凄く分かる。

私これ昔観た時に『ミツバチのささやき』より『エル・スール』の方が断然面白かったという記憶があって、その記憶と『エル・スール』のラストカットの横顔しか覚えてないや、と思ってたんですけども私が思い込んでいた移動中の横顔という記憶が間違いでラストカットが移動中の横顔じゃなかったので何にも記憶できていなかったということが判明した。前半の方にあるショットと混同してた。ラストカットはトランクに荷物詰め込んでる姿を真正面から撮ってたんですね。

今日続けて観たら『ミツバチのささやき』の方が完成度も高くて断然面白かったので、きっと当時の私には分かりにくかったから分かりやすい『エル・スール』の方がまだ面白かったんだろうなと思います。でもああいう男を理解しようとして気を揉むだけ無駄だからたとえ親だろうとバッサリ縁切った方が良いよ、とも今の私は思います。

『ミツバチのささやき』はアナ尊い精霊尊い聖霊尊い!!!!!とストレートにやることができなくてオブラートに包んで包んで包みまくった結果傑作になってるんだけど、こっちはフランコ政権倒れて何事もさほどオブラートに包まなくて良くなった分ダダ漏れになったそういう願望がクッソキモいです。この人、小さき女に無垢とか面倒な何かを投影しすぎてクッソキモい。そして私にはそれを言って否定する権利がある。
ーcoyolyー

ーcoyolyー