ーcoyolyー

マルコヴィッチの穴のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)
3.8
性倒錯者という字幕を見て目と耳を疑って何度か繰り返して聞き取りしてみたんだけど、私の耳にはどうやってもtranssexualと聞こえる単語を「性倒錯者」と訳出するのはどうかと…1999年か……1999年でも酷いと思うんだけど………せめてこの部分だけでも字幕直そうよ……………

1999年の空気感を必死に思い出そうとしていたらジョン・マルコビッチが44歳だそうで、え?え?え?44歳ってこんな感じ???あの頃この映画を観てスパイク・ジョーンズ天才!とか騒いでた周囲の20代(1999年大学卒業)より年下になってる!?

よくわかんねえや、よくわかんねえからこの時空の捩れに関してはクリストファー・ノーランに投げてしまいたい。というかこの映画を観て『インセプション』作ったよねあの人。スパイク・ジョーンズ天才なんだけど理論的な部分に拘りのない人だから別のタイプの天才はそこを理論武装したくなっちゃったんだろうな。今ノーラン界隈も面倒くさそうだから現時点ではあまり近寄りたくないけど。2023年8月、原爆忌直前の時点で最も日本に呼んじゃいけなそうな映画監督だし。

閑話休題。

まあでもあの頃、ミレニアムだなんだと騒いでいた頃のクソサブカル界隈にこの映画は偉く浸透したんだなというのは今この時点で観るとよくわかる。タナダユキ監督の『ロマンスドール』のあの夫婦の空気感とか、生まれ変わりの設定は『推しの子』とかに影響与えてるんだろうなと何となくわかる。

でもそれより何よりこれザ・シネマでずっと前に録画してたやつなんですけど、この後『ロスト・イン・トランスレーション』放送してたらしくてめちゃくちゃ気が利いているというか何というか……あの映画、あからさまにキャメロン・ディアスをコスりにいったキャラ出てくるじゃないですか、スパイク・ジョーンズをモデルにしたキャラとキャッキャキャッキャやってそれを醒めた目で見るスカヨハ様っていう構図あるじゃないですか。私ずっとスパイク・ジョーンズとキャメロン・ディアスの接点うまく把握できてなかったんだけど、そうか、この映画か………って……………

2本続けて観たら胃がキリキリするよね。この編成、親切なのか鬼畜なのかよくわからん。あの夫婦のち元夫婦のエアリプ合戦の始まりここかって思うと感慨深くはなる。この映画でなんかあったんだよね。キャメロン・ディアスはとりあえず置いておくとしても多分2人にしかわからない何かがあったんだよね。マキシン役の人、ソフィアにどことなく顔立ち似てたし、恐らくその人周りで2人の間であった何らかのパーソナルなエピソードを無神経にそのまま映画に投入しちゃってソフィア激怒→『ロスト・イン・トランスレーション』でのあのスパイク描写(スカヨハ様にソフィアを投影)→離婚→『her』(スカヨハ様の声だけ起用)でのルーニー・マーラにソフィアを投影した元パートナーへのごめんなさい描写と玉突きで起こっていく起点はここなんですね。ソフィアは無邪気にやってそうでめちゃくちゃ周囲に気を遣ってちゃんと許可取ってこう描きますって投入してるのにその手間省いてドーンとそのままいれちゃったんだよ多分スパイクは。ソフィアがそうやって気配りしてること気付いてなくて、え?何で俺だけ?って最初思ってたんだけどやらかしの意味に気付いて反省した結果の『her』なんだよ。

そういうドキュメンタリー視点で見ても面白かったです。

あ、『白鳥の湖』は小澤征爾&BSO音源だった。ABTの舞台でかかってるのがこれ。こういうの記録してくの大事だから。未来の私のための記録大事だから。謎に最初の方で出てきたエレベーターにオクタヴィア・スペンサーが乗ってて、「何これ『シェイプ・オブ・ウォーター』の原点か!?」とワクワクしてこの後話の展開に重要人物として関わってくるのかと思ってたらそれ以降ちっとも出てこなくてそのまま終わっちゃって結局そのシーンだけのただのカメオと判明してびっくりしたのと同じくらい大事な記録だから。
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