デジタル撮影

然るべき風が吹くことで、牛は我々の目の前に姿を現す。羊群がカメラの前を横切り、その氾濫する白さが画面から立ち退くことで、牧羊犬は我々の目の前に姿を現す。牛がふと足を止め、画面外へと立ち去ることで、群衆は我々の目の前に姿を現す。
誰のものでもないはずのこの世界は、だがしかし然るべき秩序に基づき何かに部分的に所有されていて、なおかつその所有は常に流動しつづける運動にほかならない。だから祝祭の人々は、その足場を次の人に明け渡すステップを踏みつづけるのだ。

タイミング、テンポ、切り返し、タルベーラっぽさが画面に充満している。何者になりたいかわからない小田香のスタイルがアイデンティティの模索の間で揺れている。曲がりくねった道のロングカットの長回しで何かの集会が終わって人々が続々と出てきてたちまち渋滞になるカットのワクワクさ凄い。迷いがあるにもかかわらずこの淡々とした度量というか気概というか小田香凄い…

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