ゲイリーゲイリー

シカゴ7裁判のゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.0
約50年前に実際にあった裁判を元にして製作された本作。
なぜ今この時代に、本作が配信及び公開されたかが非常に納得できた。

人種差別、貧困問題、戦争問題等の社会問題は現在と見事にリンクしており、時が経った今なお何も変化していないのではないかと現実を突き付けられた。

そしてそれらの社会問題に対して意を唱え行動を起こした者たちを捕縛し、口封じを行う政府。
それらの行いは勿論何の問題解決にもならず、人々の不平不満は募るばかり。

本作ではそういった今尚蔓延る巨大な不条理さと真っ向から立ち向かい、信念を曲げなかった男たちが描かれている。
私自身本作がどれほど史実に基づいているかは判断できないが、本作の面白さは保証できる。

法廷劇のシーンと暴動のシーンが交互に展開される編集も素晴らしかった。
時系列をバラバラにする意味があるのかと序盤は疑問に思ったが、後々そういう編集方法をとった意味も腑に落ちる見事な脚本。
俳優たちの演技も皆それぞれ素晴らしく、配役もぴったりだったように思う。
(個人的にマイケル・キートンの配役が最もピッタリだと感じた。あの人ああいった役をやらせるとカッコ良さが1.5倍ぐらい増す気がする‥。)

正義とは何かを考えさせる社会派映画の魅力と、7人の活動家が裁判を重ねるごとで互いの思想に理解を示していき、チームとしてまとまりを見せていくエンタメ性の魅力を両方を兼ね備えた本作。
どれだけ不公平で馬鹿げた裁判を行われようとも、自らの信念や思想を曲げず立ち向かった姿には尊敬の念を抱かずにはいられない。
個人的にNetflixオリジナル作品で最も好きな作品だ。