よう

すべてをかけて:民主主義を守る戦いのようのレビュー・感想・評価

4.5
アメリカにおける投票権をめぐる各問題を辿るドキュメンタリー。

冒頭で2018年のジョージア州知事選の結果を見せ、そこからその候補となったステイシー・エイブラムス氏の足跡と、有色人種や女性などにとっての投票権獲得の歴史とを重ねるように綴っている作り。
ここらへん、作りとしてスムースだなと。

人頭税や識字テストなど、あの手この手で投票抑圧が行われたアメリカの負の歴史を知ることに。
1965年、血の日曜日事件と言われる、アラバマ州エドマンドベタス橋での行進で起きた惨劇も。
同年、投票権法ができたが、投票権獲得がここまで命がけであったとは。
自分にとって知らないことばかりで衝撃だった。

……ここまででまだ前半。
その後も、「最近の投票システムでさえこんなややこしいことになってるのか」と、驚きの連続だった。

終盤では、再びジョージア州知事選について。
投票所で立候補者の手続きでさえ手間取るってなんだ。笑っちゃうほど呆れる。
アメリカの選挙の公平性ランキングには、そりゃそうなるよなあと。

大統領選挙前の作品だけど、大統領選の結果、ドナルド・トランプ氏が不正投票だと騒いでいることや、ジョージア州の勝敗などを知った後に観たぶん、味わい深さが増した気がする。

差別と投票権の歴史と、現状の不条理さから、投票の公平さを強く訴える一本。
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