踊る猫

すべてをかけて:民主主義を守る戦いの踊る猫のレビュー・感想・評価

4.3
良質な、優等生的なドキュメンタリーだと思う。私なら私は選挙権/投票権について「天賦の権利」と思ってしまうのだが、その権利は実は先人が(時に命をかけて)勝ち取ってきたものであることを再確認した。それにしてもステイシー・エイブラムスが戦った選挙戦の投票所でのいざこざの様子はどうだろう。不条理な事態が次々と起こり、データベースを頼った簡便さを追求した投票が実現したはずが、実は「不正」の可能性が濃厚なミスが続々と登場する。このドキュメンタリーから一面的に事態を見るのはむろん危険だが、ここまで権力/エスタブリッシュメントの「なりふり構わず」な工作を見ると笑えてしまう。そのような、選挙権が時に政府によって骨抜きにされうる危険性をうまく/手堅くまとめた意味で面白いドキュメンタリーであると思った。個人的にはもっとステイシーの人隣を知りたくなった。彼女のしなやかな知性と立ち居振る舞いがこのドキュメンタリーに独自のユーモアという膨らみを添えている。
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