踊る猫

オールドの踊る猫のレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
4.2
何だこのコロナ禍のメタファー/陰画のような映画は……主人公たちが迷い込む一日にほぼ一生涯の時間を体感させられるビーチは、否応なしにどこかに閉じ込められ閉塞感を感じさせられたまま歳を重ねなくてはならない私たちのプレッシャーをそのままなぞったものであるかのように思われる。そしてこの映画の真相はそのまま三文小説やフェイクニュースの十八番である陰謀論の写し絵であると思う(むろん、シャマランは「わかっていて」戯れているはずだ)。そう考えてみるとシャマランは実に時代とうまく戯れながらこの世界に「娯楽」を復権させようとしている映画監督なのかな、と思う。アイデア一発勝負なので矛盾も感じてしまうが(あんなに成長するのが早いなら服はどうするの、というように)、シャマランの映画をそれでも応援したいのは弱っちい主人公の中のタフネスが覚醒して事態を好転させるポジティブ思考があるからだ。この映画もそうした映画ではある(が、ちとその向日性において今回は大人しすぎるかな?)。
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