KouheiNakamura

セブンのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
5.0
How do I live on such a field?


「ミュージアム」を観てこの映画を連想したため、久しぶりに鑑賞。
20年も前の映画とはとても思えないほど、センセーショナルでスタイリッシュでそれでいながらクラシックな魅力を持った大傑作。
定年を間近にした老刑事サマセットと血気盛んな若手刑事ミルズが、七つの大罪をモチーフにした連続殺人に挑む。

改めて再見してみて驚かされたのは、まずはその映像の見事さ。雨の降り続くニューヨーク、陰鬱で恐ろしい犯行現場、暗闇を最大限に活かした撮影がとにかく素晴らしい。カメラの現像処理で使われる銀残しという手法によって作り出されたコントラストの強い映像は今尚その輝きを失っていない。
また、音響デザインも完璧で神経を逆撫でするような音響効果が随所で効果的に使われている。
役者陣の素晴らしさは言うに及ばず。最大の当たり役と言ってもいいほどのハマりぶりを見せるモーガン・フリーマンの渋さ、クライマックスで見せる葛藤の表現が凄まじいブラッド・ピット、淡々と狂気を滲ませるケビン・スペイシー…などなど素晴らしいアンサンブルだ。

そしてこの映画はほとんどの人にサスペンス及びホラーとして認識されているが、僕は人間ドラマとしても非常に優れていると感じた。都会の刑事としての人生に疲れた老刑事が抱く、嫌悪感。こんな醜い世界で、生きる価値はあるのか?闘う意義を、信念を持ち続けられるのか?
苦い結末を迎えることで有名な本作だが、決して絶望のエンディングではない。僕は、そう信じている。

あまりにも沢山のフォロワーを生んだカイル・クーパーのOPクレジットやグウィネス・パルトロウの瑞々しさなどまだまだ語りつくせないこの作品。まだ観ていない方は必見です。
KouheiNakamura

KouheiNakamura