明月

ドライブ・マイ・カーの明月のネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

インターナショナル版。

全編、舞台を観ているような気分になる映画。

劇中劇が、ワーニャ伯父さんだからか。
独特の台詞回しの舞台のよう。

いろんな言語が飛び交うのが、面白い。

印象に残ったところ。

ソーニャ役の手話役者のユナが、
家福と渡利を家に招いたときに
「私の言葉が通じないのはいつものことだ」
というセリフ。
通じてなくても、見えてること、聞こえてること、感じていることがたくさんある。

家福の高槻に対する視線。
分別ってなんだろうか。

広島のゴミ処理場。
家福と渡利の会話。
土砂災害で死んだ渡利の母と、
くも膜下出血で死んだ家福の妻。

俳優の間で何かが起きていた。
それをすべて観客に開いていく。
チェーホフは恐ろしい。
自分を差し出して、それに答える。

家福の音の話。
高槻の音の話。
ヤツメウナギの少女の話。

自分の心と上手に、折り合いをつけていく。
他人の心が知りたいなら、自分自身をまっすぐ、深く見つめるしかない。

高槻の話を聞いたあとに、大事にしていた車の中でタバコを吸うところ。
煙が線香のよう。

高槻が警察に連行されるときに、家福に頭を下げるところ。

家福がワーニャをするかしないか。

渡利が「運転は、私の仕事だからです」というところ。

雪のなかで渡利の母がサチになったときの話。

ただしく傷つくべきだった、と家福が吐露するところ。
ほんとうをやり過ごしてしまった。
耳を傾けなかったこと。
もう一度だけ話がしたい。
会いたい。
取り返しがつかない。どうしようもない。

生き残った者は死んだ者のことを考え続ける。
そうやって生きていかなくちゃ。
僕たちはきっと大丈夫だ。

ワーニャ伯父さんの舞台。

仕方がないの。
生きていくほかないの。

観客席の渡利。

韓国でドライブする渡利の表情。
明月

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