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ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期のtjZeroのレビュー・感想・評価

4.1
フランシス・F・コッポラ監督が、『ゴッドファーザーPARTⅢ』(’90)を再編集し、マリオ・プーゾ(原作)とコッポラがもともと構想していた形に近づけた《最終章》。

30年寝かせたワインみたいに、芳醇な味わいになっておりますよ。
雑味がとれて、スッキリとしたのど越し。

Ⅲが162分で、《最終章》が158分。
削った4分はたぶん、Ⅲの評判を落としていたメアリー役のソフィア・コッポラの出演場面だったのではないかと思われます。

その”雑味”がとれた分、主役であるマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)の悲劇にグッとフォーカスが絞られ、シリーズの終着点として納得できる幕切れになっています。

改めて思ったのは、マイケルの生涯って、マネー・ロンダリングならぬ”ライフ・ロンダリング”だったのではないか…ということ。

偉大な父ヴィトーの跡を継ぎ、教えを守りながらも、ファミリーを何とか健全で合法的な組織に変えていこうとするマイケル。

歳を重ね、重い糖尿病により生い先が長くないことを悟ったマイケルは、己の生きざまの洗浄(ロンダリング)を焦ります。
彼がとった荒業は、最も聖なる組織(バチカン)と、己の組織を合体させること。

”聖なる洗浄”で偉大な父を乗り越えようとしたマイケルでしたが、血塗られたファミリーの所業が足を引っ張り、足をとられ、もがき苦しみます。
ファミリーの”血”からはやはり逃れられない、彼の悲劇に胸が締めつけられる思いがしました。
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