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ブラック・ビューティーのhiyokoのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・ビューティー(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

小学生の頃大好きだった本、「黒馬物語」を現代風に解釈したストーリー。
野生馬として生まれ、自由に駆け回る中で、突然人間に捕まり家族と引き裂かれる黒馬。
優しい厩舎長に巡り合って命拾いするけれど、悲しみから人を拒み続ける日々。
閉ざされかけていたビューティの運命が、同じく家族を失った少女、ジョーとの出会いで少しずつ動き始める…。
原作の場面を所々に取り入れながら、ビューティとジョーの絆に焦点を当てた、愛に満ちた物語になっていました。

小説の文面をほのかに思い出すようなナレーション…
風になびくたてがみ、波の音…。自然の中を駆ける黒馬の美しさ。
観ているだけで、心が澄み渡っていくような気持ちになる映画。
魂が傷付いた者同士の静かな共鳴、初めて2人の心が通い合った瞬間から涙が…。
ビューティの側にジョーがいるのがいいなぁ☺️と思いながら観ていましたが、やはり原作らしい展開もしっかりと描かれていました。
人間の都合で生き方を変えさせられる馬たち…。優しい愛を持った人もいれば、道具のように扱う人も。人間に合わせてもらうのは同じでも、馬の気持ちを考えながら接する人と、身勝手に利用する人とでは全く違うと思った。
憤りや悲しみが満ちてくる場面もあるけれど、馬と人の生涯が重なり合う、美しく優しい瞬間に何度も涙が滲みました。
降りかかる運命を生き抜く、魂の気高さに胸が締め付けられる。
人間の世界を見つめるビューティの少しシニカルな目線も面白かったり、身につまされたり…
普段の日常とは違う視点で、人としての生き方を見つめ直したくなる作品でもありました。

「ゲーム・オブ・スローンズ」のジョラーさん役が大好きな、イアン・グレンさんも出演!
ビューティとジョーを見守る叔父、ジョン。
少し不器用ながら、頑なに閉じた2人の心に、寄り添おうとし続ける姿が暖かかった。
馬に向ける優しい目線と手付きに癒されました…☺️
ジョーを演じているのは、マッケンジー・フォイさん。
ビューティと心を通わせるジョーの、繊細な感情表現、深い愛情。雪の中で振り返る場面の美しさが心に焼き付いた…。
ビューティの大きな目の優しさ。ケイト・ウィンスレットさんの声が、芯のある暖かさを自然に引き出していました。
ジョーを想う気持ちや苦難への哀しみが伝わってくるような表情と、逞しい馬の体の美しさ。
生涯を駆け抜ける力強い足跡が、心に刻まれるようでした。

最後に「黒馬物語」を読んでから15年以上経ち、すっかり記憶もおぼろげに…
調べてみたら、もともとはビューティが生まれたのは牧場だったり、ジョーは少年だったり…思った以上にアレンジされている部分が多いみたいで、久々に原作が読みたくなりました!
他の映像作品で観たことがあるのは、1994年製作の映画「黒馬物語/ブラックビューティ」。こちらも10代の時に観たきりですが、原作そのままの雰囲気が再現されていた気がするので、近いうちにもう一度観てみたいです。
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