きよぼん

ブレット・トレインのきよぼんのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.4
泣いちゃった。泣くような映画では全くないんだけど。

殺し屋・レディバグ(ブラッドピット)は、あるブリーフケースを手に入れる依頼を受けて新幹線に乗り込む。しかし車内にはウヨウヨと殺し屋たちがいて・・・というストーリー。

次々と現れる殺し屋たちが最高すぎる。「常識」「社会のルール」という頭のネジはゆるむどころか吹っ飛んでるけど、自分のためなら何でもするという変なスイッチが入ってる人たちを愛でるのは楽しい。嘘つく、殴る、恫喝する。普通の世の中の倫理ではやっちゃダメ。でもフィクションの中では存分にみれるのが映画の魅力。観客は普段はマジメに生きて、スクリーンの中ではぶっ壊れたものをみる。これぞ映画の醍醐味。本作は最高の贅沢を味あわせてくれる。

東京から京都へ。殺し屋たちの争いはエスカレートして、ストーリーはどんどん加速する。トンデモジャパン描写とか言われてたけど、それほどでもない。むしろかなり現実に近いから、序盤は細かいところが気になってしまう。しかし、そんなことも京都へ着くころにはどうでもよくなる。というか、物語が加速すると早く次にどうなるか知りたくて、「こまけーこたあいいんだよ!」になるもんだということを体感した。最初は違和感あった世界が、終わってみるとピッタリだったと思えるのは不思議。

ぶっ飛んだキャラとストーリー。だけど後半になって明らかにされる本作のテーマが、自分の中ではこの作品を1ランク上げて押したいポイント。なんだか泣けた。泣くような作品でもない。でも自分にははまった。好きな世界からの不意打ちだった。こういうハチャメチャな映画でありながら、大事なことをソッと差し出す。「ギンギラギンにさりげなく」。マッチはいい曲歌ってる。これ最高の美学。

自分としては文句なしのオススメ映画。

そしてここまで書いといてなんだけど、今自分の感想ツイートとかブログ読んでくれてる人は、そんなことしなくていいから、すぐに劇場にいって最高の真田広之を観て欲しい。
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