旧き良き昭和40年代_
大学を中退して行く宛てもなく、ストリップ劇場浅草フランス座で下働きとして働くタケシ。
芸人・深見千三郎のコントに惚れ込み、自分も芸人として成功することを夢見る彼は、何とか深見に認められ、弟子入りを許される。
深見から厳しくも愛情深く芸人の心構えを叩き込まれながら、タケシは日々"お笑い"の修行に励むが、世間はテレビの普及により演芸場への客足は遠退いてゆく…。
芸人・ビートたけしの下積み時代を、劇団ひとりの演出・脚本で描く。
深見とタケ師弟の関係性が程よく描かれており、二人の粋なやり取りが心に響く。
ツービートというコンビ名の由来や、たけしがタップダンスを愛する理由など、興味深く観ることが出来た。
若いストリッパー千春に対する、シャイなタケシの淡い恋心も良いアクセントになっている。
また、主演の柳楽優弥を始め、脇を固める大泉洋や門脇麦の演技が素晴らしく、自ずと物語に引き込まれてしまった。
時流に乗り"お笑い"の頂点に向かって突き進むタケシと、時流に乗れず世間から忘れ去られてゆく深見。
ラスト間際、漫才師として大きな賞を獲ったタケシが、深見のもとを訪れ"小遣い"を渡すくだりは心に刺さるし、その直後、二人が行き付けの飲み屋で客たちから取る爆笑は、そこはかとなく物悲しさを醸し出す。(特にハイヒールのボケがね)
まあ、物語的にはステレオタイプに感じるが、夢に向かって精一杯生きる若者の姿は、観ていて清々しかった。
ハナマル!
(でもエンドロールの楽曲は桑田じゃあないだろ。『夜につまずき』とか良い歌があるのにな。)
2021/12/25