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くれなずめのkoyaのレビュー・感想・評価

くれなずめ(2021年製作の映画)
4.5
くれなずむ、を命令形にして「くれなずめ」

結婚式と二次会の合間の3時間の物語。

高校の同級生が高校の友人の結婚式で5年ぶりに再会して、赤フンで踊って大ヒンシュク!
仲良し6人組というより、ゴロゴロとつながっているような6人で高校卒業後はそれぞれの道を行っているけれど、6人集まると仔犬のようにワイワイする、というのがいいのです。

その男くささというか、それぞれ社会人になっても顔を合わせれば仔犬に戻る、でも実は皆ある事から目をそむけている。

うけると思った赤フン踊り(振付:パパイヤ鈴木)が大失敗でがっかりしてこれで二次会なんて行けるかよ!と喧嘩になったり、間に立ったり、なんとかなだめたりする6人。

それぞれの家庭環境やら背景はほとんど描かれません。
描かないものはとことん描かない。
あれも、これもと欲張らない。
ふざけているようで真面目。
考えないようにしても考えてしまう。
忘れたくても忘れられない。

この映画、どんな映画かと聞かれたら、青春映画と答えます。
恋愛だけが青春ではなく、友人たちとの絆の濃さ、薄さを上手く描いた映画も青春映画です。

成田凌の旅行鞄みたいなリュック、いきなり飛び込んでくる城田優先輩、ちくわぶとコンブの違いがわからないおでん屋、滝藤賢一、客にパパイヤ鈴木とおやじダンサーズ、自転車泥棒を見つけてしまう警官、岩松了、前田あっちゃんのヒステリー。

私は個人的には藤原季節がスーツのポケットから心臓を取り出すところに笑ってしまいました。

結婚式って普段会わなくなって人が集まる場。
冠婚葬祭を上手く使ったストーリー。滅多に会わず、5年ぶりに再会するからこそ、仔犬逆戻りが楽しく、そしてせつなく、夕暮れを歩く青年たちの姿はくれなずんでいます。
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