『帝一の國』の永井聡監督の新作。
『帝一の國』も映像が深みがあって綺麗だったけれど、この映画もサイコサスペンスとはいえ映像が深みがあってグロテスクというより血の美学。
ぞっとするような事、汚く描いたらそれはただの野暮ですが、この映画くらい美学が昇華されていると観ていて時間を忘れるし、B級ホラー的なラストも余韻を残していいです。
主役は『帝一の國』と同じく菅田将暉だけれど、サイコパスを演じたFukaseが本業はミュージシャンなのに他の人では考えられないほどのはまり役。
本当にやりそうなんだもの......
そのリアリティの出し方、徹底しているし映画の底辺にずっと流れている恐怖の感覚も途切れることなく続いている、力作。
力のある映画は何を描いても見ごたえあるし、ただのグロテスクでは終わらせないサスペンスという娯楽要素を十分含んだ美学があって好き。
誰もあげないんだったらＦｕｋａｓｅに私が助演男優賞をあげます。
あのふらふらとした首の動かし方は誰にでもできる技じゃありませんし、あの声の出し方、やさしい口調でずっと穏やかなのに狂っているというリアリティありすぎ。
