タスマニア

心の傷を癒すということ《劇場版》のタスマニアのレビュー・感想・評価

4.0
2021年10本目。

「最近精神科に通っている」

そんな事を言うと、周囲はどう思うだろうか。
心はかんたんに傷つきやすいのに、人間の心はとても複雑なのに、
心を治すことに関しては専門家の力を借りることに凄く引け目がある(気がする)。

「心の傷を癒やすということ」というタイトル通り、人間の心をケアすることに真摯に向き合った安克昌という人物のお話をめちゃくちゃ丁寧に描かれていて、最高だった。

実際は、幸せなことに精神科に相談したいような問題は抱えていないです笑

いや、本当に描き方が丁寧で穏やかだったんだよ。
セリフや物語の進み方と、あと柄本佑の演技も。
「なんて、穏やかな話し方なんだ」と感嘆した。
言葉に出来ないけど、何気ないセリフにぶわーって涙が出そうになる語りだった。

安さんが名乗るときに「安心の安です」と言う(「安全の安」だっけ笑)のを聞いて、名前の時点から人の心を癒やす天賦の才能があるんだなって思った。

地震ごっこをして心を整理する子どもたちや、そんな子どもたちを叱責した後に安先生に諭されたおじさんのなんとも言えない表情。
地震が起きても何も倒れてこないから安全と広い野原に奥さんを連れて行く青年。
「揺れてる?」という少年の不安に優しく答える安先生。

なんか、震災がもたらした人々の心のダメージをケアする方法の一つ一つに心打たれてしまった。

ただ、自分の感覚で一番心のケアとして「最強だな」と思ったものがある。
それは尾野真千子の「充電」という名のハグのシーンだった。
とてつもなく深い愛情と「心の傷を癒やすということ」を体現している行動だなーと思ってしまった。
尾野真千子という女優さんを前よりも好きなるぐらいのインパクトが有るシーンだ。
精神科の療法の一つにペットを使ったセラピーがあるぐらいだから、結局は「愛情を向けられる」ということが、心のケアでは一番効くんじゃないかという持論。

ちょっと映画として優しすぎるので、ホワホワしてしまった。
最後の子どもたちの後ろ姿はクレジット見る感じでは恐らく、安先生の本当のお子さんだろうか。
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