タスマニア

ハウス・オブ・グッチのタスマニアのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.5
2022年12本目。

160分程度の大ボリューム映画だったけど、その分見応えあったなぁ。
GUCCI というブランドや地位と血に呪われた家族の愛憎劇だった。
ファッションやブランドに全くと言って良いほど興味がないので、GUCCI のことは全く知らないけど、それでも楽しめる。

というか、この映画見た後は「GUCCI ブランドの商品は血と憎しみがべたべたと染み込んでいるんだなぁ」という目で見てしまいそう笑

劣等感やコンプレックスが歪んだ虚栄心を生み出し、パオラに対して今でいう「マウント」を取るパトリツィアの姿はすごく人間だった。
そういった意味では、パトリツィアの出立ちをもう少し描いて欲しかったかも。
というのも、マウリツィオと初めて出会った時のパトリツィアはどこまでピュアに彼を愛していたのかがイマイチ掴めなかったから。
彼女が GUCCI のブランドと権威に執着し始めたのは、環境が彼女を変えてしまったのか、元来彼女はそういう人間だったのかが分からなかった。
うん、最後までパトリツィアという人間を掴みきれなかったのかもしれない。
そういった意味でも、レディーガガがヘアスタイルやファッション、そして体型までも時代の変遷に合わせて演じ分けていて、すごいと思った。
自分の見間違えじゃなかったら、終盤は顔が結構ふっくらしていた気がしたので、「ストレスと自堕落な生活で太った」雰囲気を感じられたから。

「アダム・ドライバーは子煩悩な父親役似合うなぁ」なんて、「マリッジ・ストーリー」のことを思い浮かべながら見ていたんだけど、やっぱり GUCCI の世界はマウリツィオという人間も変えてしまった。

まさに「GUCCI 一族の話」であるし、パトリツィアが「GUCCI と結婚した」と評されるシーンに納得感がある。
それを踏まえると、エンドクレジットでの現在の GUCCI と GUCCI 家の関係性を一言で表した字幕説明も重い意味を持つ。

それにしても、パオロをジャレッド・レトが演じているのは事前に知っていたけど、全然分からないな笑
モービウスを演じる人と同じ人とは全く思えない笑

あと、アル・パチーノの株売却のシーンの演技凄まじい。
パオロから衝撃の事実を知らされた時の「私は死んだ」というシーンの迫力、そして、怒りのサインシーン。
GUCCI という一家の愛憎劇だけど、さながら「ゴッドファーザー」だった。
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