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竜とそばかすの姫の群青のレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
2.8
未来のミライが目も当てられないくらい酷かったので今作は観に行きませんでした。


やっと配信されたと思って観たらまあ映像美についてだけ言えば観に行ったほうがよかった。Uの密度が凄まじいし、現実の背景もすごくいい。華やかで美しい。
さぞかし大きな画面が映えることだろう。映像だけ見れば。
あ、あと音楽もまあよかった。主演の中村佳穂のなにかを口ずさんだことがそのまま歌になるような即興性と歌そのものの力は紛れもなかったと思う。役に選ばれた理由がわかるというか、なるべくしてなったかのような自然さだった。歌自体はめっちゃ好き!ってくらいではないけども笑


内容はまあ前作に比べたらマシだけどやっぱり気になるところがある。
現実での各キャラの立ち位置や心情模様は繊細で良い、と書きたいところなんだけどそれにしても語り口があっさりしすぎている。

まず、カミシンというキャラの必要性が感じられない。後半のある展開のためしか活躍しない。
主人公のが憧れるルカちゃんも可愛いだけでストーリーに関連があるというとサブ扱い。何のためにいるんだろう。

合唱部にいるおばさま型の必要性も弱い。マジで最後の展開のための運転手でしかない。あ、Uやってたんだ。まあどうでもいいけど。

極め付けは幼馴染のしのぶくん。
声が成田凌というだけでもう既に人を食ったような感じでいけすかねえ(これはただの僻み笑)だが、最後にとんでもない台詞を吐く。やっと解放された、というセリフはちょっとおかしいと思う。
誰も見守っててなんて頼んでないし!すずも頼んでないし!勝手に保護者目線してんのが好かん。
しかもすずがそれでいい、それで許せているのが許せない。すずは許せても俺は許せねえ。
何様だお前は。


もっと酷いのはUでのストーリーが全く面白くない。
ベルが竜に肩入れするの流れも不自然だし、単に気になるってだけで現実世界の誰なのか探るだろうか?
そして竜側もベルに感化される理由が不十分。
お互いの心情が判断できる材料がほとんどないまま美女と野獣をやられても乗れない。あと、周りのAIはなんで竜に協力してんの?美女と野獣の時計とかろうそくとかティーポットの位置のキャラだろ?それしか意味ねえ。

Uの自警団みたいな奴らの必要性が薄い。
本当に自警団みたいなことしかしておらず背景が何もない。スポンサーだけ。
しかしリーダーが森川智之なため声だけで無駄にキャラが立ってしまっている笑 あと、どうでもいいけどこいつロックマンに出てきそう笑
ガルルキャノンみたいなの持ってるから余計そう感じてしまう笑 ロックマンなら共通の敵を持った敵で考え方違うからぶつかる。んで後で中ボスになるような感じだ笑


そして結構な人が引っかかるであろう終盤。
一人でそんな奴のところに行くな。
周りの大人は誰か最低でも一人はついて行け。
勢いに任せるにしては距離が大変すぎる。彼氏に会いに行くんじゃないんだから。
パパは事情察知しすぎ、会いに行く相手が相手なのだからあなたこそ一緒に行ってあげないと妻の次は娘も失ってしまうぞ。

というか大人がいねえ!

遂に対面する相手もそれで負けるんかい!と思ってしまう。
どうせなら大人が着いて行き、すずとはぐれ、敵がすずに気圧される時にちょうど見つけ警察さんこいつです!の方が自然だし敵の末路も描ける。中途半端に覇王色の覇気でのして、やっと会えたあの人と話すだけ話して、家に帰るのは答えを放り出しすぎ。自己満でしかない。
もちろん主人公の行動が亡き母の行動と対になっているのは良くわかるんだが、いかんせん描き方が下手くそすぎる。


素直に美しい画面や歌に感動したいけどそれ以外がノイズにしかなっていない。
でも興行収入的には歴代監督作品最高なんだよね。なんでかな。

監督の作品が好きなだけに諸手を挙げて喜べないのが辛い。
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