HK

アポロンの地獄のHKのレビュー・感想・評価

アポロンの地獄(1967年製作の映画)
3.4
『マンマ・ローマ』に続いてパゾリーニ作品を連続鑑賞。
本作も『ソドムの市』などとともにこれまで観るのを躊躇していた作品です。
邦題もなんか強烈ですし(原題はストレートに“オイディプス王”の意味だそうです)。
でも、これまた予想に反して比較的シンプルでストレートな物語が淡々と展開するのが意外。というか勝手に予想して勝手に意外だと思っているだけですが。

知らないこととはいえ父親を殺して母親と関係を持つ有名なオイディプス王の悲劇がモチーフです。
古代ギリシャの話かと思っていたら映画が始まると現代だったのでビックリ。
途中からタイムスリップしますが。

冒頭での幸せそうな母親と赤ん坊のシーンの後、まだ若い父親が乳母車の赤ん坊を睨みつけているシーンが印象的。
『お前は私を殺し私の富も名声も妻も奪うであろう』
『いや、すでにもう妻を奪っている』
赤ん坊は泣きだします・・・

シルバーナ・マンガーノはキレイですが、どの映画でも眉毛がありませんよね。
音楽はなんだか雅楽か能楽みたいだと思ったらwikiには日本の神楽(かぐら)と書かれていました(不勉強でそれぞれの違いはわかりませんけど)。

結局、警戒していたほどのグロさは全く無く、むしろ本作ではオムニバス映画『華やかな魔女たち』のパゾリーニ編と通じるユーモアさえ少し感じました。
悲劇なんですけどね。

パゾリーニ本人の人生とも重ねて描いているそうですが、その辺は私にはわかりません。
『ソドムの市』はまあいつか気が向いたら・・・イヤ、観ない気がします。
HK

HK