伏見の剛力

カラーパープルの伏見の剛力のレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.5
私ぐらいになるともちろんスピルバーグのカラーパープルは観ていませんしスピは昨年ようやく未知との遭遇観たほどですからね、そうそう戦火の馬もマイリストに入れてるんで観ないといけないんですよあっ激突はネトフリアマプラで配信されてませんのでいや〜宿題が多いですね。

本作はミュージカルとしてリメイクされたようでこれは非常にアリだと思いまして内容的にはかなり女性が辛い目に合う展開女性差別黒人差別が最近多いですねこういうの。

バービーは人形コメディで、哀れなるものたちは快楽主義で観やすくなってましたがカラーパープルはもうなんというかそれでも夜は明けるとかキラーズオブザフラワームーンをミュージカルにしたら多少は楽しく映画館を後に出来んじゃね?的な発想でまあ個人的には助かりましたね。

というのは冒頭から主人公セリーがデンゼルワシントンにちょびっと似てる父親に中出しされて赤ん坊を2回産んで2人をどこかへ売ってる事実を知りこいつぁドゥニヴィルヌーヴのあの作品ですか〜?なんて即座に 姿勢を正しましたよこんなん近親相姦より酷い家畜のようにはい産んだねはい回収して生計立てますまた産めよお前みたいなことを見せられたら。

ところがどっこい10代くらいのセリーはおもちゃを取り上げられた程度のリアクションなんですね、1日だけ一緒にいたいと懇願するだけでここで違和感があるんですよどした?セリーよ、普通ここから憎き父親の束縛から脱して例えがあんま思い浮かびませんがアンジーのチェンジリングとか始まりそうじゃないですか子供を探す壮大な物語が。

ないんだねこれが、売られるか譲り渡される前の赤ちゃんを見つけあの子は〜私の子供だわ~私と父にそっくりだもの〜♪とか歌い出す始末で妹のネティともミュージカルで前に進め〜上手くいかないのは自分自身に理由があるから〜全てうまくいく〜アハハハアハハハと結構笑顔だったりどん底に落ちてない表情で歌ってるんですよ、怖いよセリー、精神崩壊してもぬけの殻なのかまさか楽観主義なのかもしや脳みそが赤ちゃんなのかとミュージカル映画にしては最悪の幕開けですよ哀れなるものたちのセックスからの子づくりにバージョンアップしたのかこの映画はと。

しかしよくよく見ていくとどうやらセリーは父親の洗脳あってか愛も知らずセックスも快楽ではなく作業に感じたり何が一番危険かそれは完全なるイエスマンなんですね。

もちろん赤ちゃんが我が子だという自覚はあり会いたいという気持ちもありますが父親の言うことに従わなければいけないしかもめちゃくちゃ父親を憎んでるわけではないというここまでアメとムチではなくムチで娘をこんな精神状態にさせる父親にジョジョのブチャラティの名言を贈ります。

吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!!自分の利益だけのために利用する事だ…父親がなにも知らぬ『娘』を!! てめーだけの都合でッ!ゆるさねえッ! あんたは今、再びッ!オレの心を『裏切った』ッ!

いや〜この父親は自分の母親のことをどう思ってたのか、こいつと結婚したセリーの母親は真逆で優しいんですが他界されてるんでマジこいつのチンコにスティッキーフィンガーズですよマジで。

そんなこんなでミスターという男に急に妻=奴隷として買われるセリーですがもう家畜や肉便器以下ですよ扱いが、このミスターという男は3人子供を持ってますが途中から子供出てきませんでしたからねあれはミスターのセリーに対する扱いをいちいちガン見する子供たちというシーンを何度も撮ることは子役への悪影響とでも捉えた配慮なのかしら?

こんな展開が続くのですがミュージカル映画にすることで急にシリアスからミュージカルで一瞬忘れさせてくれるのが心の救いですがこのギャップもある意味怖いです。

しかしセリーは風景などを眺めてそこからミュージカルが始まることもあるので妄想癖に付き合わされてると思うとイエスマンでありながらも暗いし笑わない彼女もやっぱり現実逃避したいかとじくじたる思いもあります。

隣人のソフィアが女版ドウェインジョンソンみたいな倍返しキャラだったりミスターの愛人が家にやってきてセリーの前でイチャつき出すもセリーに寄り添ってくれたりと段々交友関係が広がってからはちょっと上手く行き過ぎだろと後半は前半のミュージカルの気持ち悪いくらいの救済要素が薄まりごく普通の展開に収まってしまったのは勿体無かったです。

というのもナポレオンみたいに数年後数年後とすぐ飛ぶのでちょっと感情移入が難しい+ご都合主義が鼻につき失速していった感じですかね。

セリーの妹ネティ役はリトルマーメイドの主人公なんですね幼き頃のセリーとネティが歌ってたキープイットムービン好きですよサブスクで4回聞きました。
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