umisodachi

カラーパープルのumisodachiのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.3


1985年の映画『カラーパープル』のミュージカル映画。正確に言うと、ミュージカル化(舞台)されたものの映画化。

1900年頭。セリーとネティの姉妹は横暴な父親の元で暮らしていた。セリーが父親に暴行されてできた子供は二人とも奪われ、悲嘆に暮れる間もなくセリーは暴力的な男に嫁がされてしまう。DVを受け使用人のような扱いをされながら暮らしていたセリーだったが、遂にはネティとも生き別れてしまうのだった。しかし、セリーを待っていたのは逞しい女性たちとの出会いだった……。

シンシア・エリヴォがウィキッド出演のためにこちらを断念したということで、正直テンションが下がっていたのだが観てきた。

結果、素晴らしいミュージカル映画に仕上がっていた。ミュージカル映画としてはかなり優等生なつくりで、ミュージカルナンバーはたっぷりしっかり、映画ならではのダイナミックな群舞もバッチリ。ミュージカルとして盛り上げるところをきちんと心得ている安心の演出で、最初から最後まであっという間だった。

ストーリーとしてはかなりツラいものがあるので、ミュージカルにすることによって緩和されてとっつきやすくなっているというのは多くの人が述べているポイント。衣裳や美術にもこだわりが感じられるし、各キャラクターも非常に魅力的に描かれていた。ソフィアとシュグが最高すぎて……愛してる!

また、1985年の映画版でどうだったのか覚えていないのだが、かなり宗教色が強い作品になっていた。シュグを聖職者から勘当された娘という設定にしていることにより、誰よりもピュアに神について語る彼女のセリフが際立っていた。また、ミスターがどん底に落ちて神に祈ってから改心するという流れもとてもキリスト教的。本来はセリーに指示されて牧師夫婦の元にネティが向かったという点を「偶然」に変えているのも神のご加護的な印象を強くしている。

逆に、ネティが牧師の妻が亡くなった後に後妻になるなどの生々しい要素は巧妙に省かれていて、セリーの人生が好転してからは特に「神の力」を全力で強調するあつらえにしていたと思う。全体がゴスペルみたいといますか。ミュージカルとしては正解なんじゃないかな。

ミュージカルが好きな人は間違いなく気に入ると思います!「Hell, No」あたりからずーっと泣きながら観ちゃった。









umisodachi

umisodachi