牛猫

ボストン市庁舎の牛猫のレビュー・感想・評価

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)
4.7
アメリカ・マサチューセッツ州ボストンの市役所の業務を追ったドキュメンタリー。

市役所の内部の人間だけではなく、住民との話し合いの場でもみんなが意見を持ち寄って発言していて、現状を良くしていこうという意識が伝わってきた。その証拠に意見をただぶつけ合うのではなく違った意見に対しても決して否定するのではなく、みんなが耳を傾けているのが印象的。どうでもいい野次はバンバン飛ばす癖に、説明して欲しいところで黙りを決め込む、どっかの国の政治家はマジで見習うべき。
向こうの国は市民の参加意識や当事者意識が高いんだろうと思った。でも本当はこれが普通で、日本人が声をあげなさすぎなのかもしれないけど。今回の選挙の投票率の低さにも諸外国との意識の差が如実に現れてしまっているし。「国や行政がなんとかしてくれる」という意識では腐敗していくばかりだ。
ボストンは知名度こそあれど、様々な問題を抱えていて決して理想郷とはいえない場所だった。その問題一つ一つに真摯に向き合い、住民との信頼関係を構築していったんだろうというのが画面に映し出される市民の表情から伝わってきた。
終盤の大麻ビジネスの説明会でアジア系の経営陣が市長の指示で説明の場を設けたと言っていたけど、市長はとにかく住民を巻き込む場をたくさん作ったし、それが見事に成功していたんだと思う。
最後のスピーチも短い中に希望を感じさせるワードが多く出てきて心を動かされたし、本当にボストンの未来は明るいんだろうなと思って、羨ましくも思った。

場面転換時に挿入される市役所の無機質な外観や、ゴミ収集車に塵芥車のパワーの凄さも癖になる。

274分というボリュームだけど、観てよかったし、観るべき作品だと思った。
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