へたれ

アザー・ミュージックのへたれのレビュー・感想・評価

アザー・ミュージック(2019年製作の映画)
3.5
良かったとこ 店の雰囲気の切り取り方
まず出だしの店の紹介で、やたら熱量のある手書きPOPとともに、この店がどんな店なのかが紹介される。同時代に渋谷にも大量にあった、「目利きの店員がいるレコード屋」の雰囲気はこれだけでも十分伝わった。
面白いのは最後で、この手のドキュメンタリーにありがちな閉店日を描くのではなく、その後をちゃんと描いているところ。
観客をこの店の客に同化させたうえで閉店後をあえて見せることによって、この店への愛着がより湧きやすくなっていた。

ダメだったとこ 地域的な視点の欠如
9.11テロを除くと、マンハッタンのイーストビレッジに店を出していたということについての店と地域との関係が希薄。「インターネットとスマホによって、愛すべき地元の店がまた一つ閉店になった」というだけなら似たようなドキュメンタリーはたくさんあるし、このドキュメンタリーも結局その域を出ていない。リアル店舗の記憶は地域との関係なしには成り立たないので、せめて近所のニューヨーク大学にインタビューに行くとか、それぐらいの地域性は必要だった。
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