わじ

レミニセンスのわじのネタバレレビュー・内容・結末

レミニセンス(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

予告に惑わされるな!水没した都市の中、一人の男が運命の女性を探し求めるSF恋愛作品

◯感想
制作ジョナサン・ノーランと監督・脚本リサ・ジョイのノーランワールド満載の設定と予告編で、2021年の中でもかなり上位で楽しみにしていた作品でした。。見終わった感想は、ちょっと宣伝に悪意(というかノーランブランド推し)が強すぎて、作品そのものを純粋に楽しむことができなかった印象です。作品としては悪くないと思います。ただ、「SF設定ごりごりでいきまっせ!新感覚映画体験!記憶に潜入や!」という割に本筋がしっかりとした恋愛映画だったので、『インセプション』のような世界観を期待していたギャップを埋めきれませんでした。

俯瞰のワンカットで始まるオープニングの構図と映像は本当にかっこいいです。少ない情報の中で何が起こっているのか、どういった状況なのかを一瞬で理解させる素晴らしい演出でした。また実際にテーマパークを水没させて撮影したり、記憶を投影させる装置を実際に制作したりCGに頼りきらない映像にはリアリティがあり、SF設定の世界でも違和感を感じさせず、とても納得感を生んでいます。

『グレイテスト・ショーマン』でタッグを組んだヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソンの演技ももちろん素晴らしく、レベッカ・ファーガソン本当に美しかったです。眼福です。随所に『グレイテスト・ショーマン』を感じさせるカットがあったのも印象的でした。

記憶という断片的な情報に加え、時系列が前後して、さらに確信に至るまでの登場人物が多い割に、一人ひとりの情報(出来事)が少ないので途中、「誰が誰だっけ?」となりかけましたが、ラストに進むにつれてそれぞれの出来事や人物関係が明らかにされていく脚本は見応えがありました。冒頭のメッセージが繰り返されるところも、それまでの経緯を見ている(知っている)ため、言葉の重みを感じることができ、よりこの世界観に引き込まれました。

パートナーのワッツ(タンディ・ニュートン)には未来を生きてほしいと言いながら、自分は過去に生きる道を選んだニック。同じ男としてその弱さも苦しさも理解できるからこそ、ともに未来に向かって生きてほしいと思うけれどこちらは監督の意向が出ているのでしょうか。対照的な描き方が面白かったです。


作品としての設定も面白く、脚本もしっかりとしているからこそ…余計な先入観を持たずに作品を見たかったなぁと自戒も込めて。
わじ

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