わじ

プロミシング・ヤング・ウーマンのわじのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

怒涛の展開で、グッと作品に引き込まれる圧巻の脚本。骨太なメッセージが刺さりまくって見終わった後も、そして振り返っている今でも心に何か重たいものが残り続けている感覚になる作品。

◯感想
ずーっと見たいと思っていて滑り込みセーフ!久しぶりに訪れた渋谷シネクイントのサイズ感もよかったです。
見終わった感想は、いや〜…すごい作品でした。。。いい意味ですごく後味の悪い展開だけど、見方によってはスカッとするし、作品を通したメッセージ性が強すぎてなかなか言語化するのが難しい。区別するわけではないけれど、女性監督ならでは!というシーンが多くある印象でした。

キャリー・マリガンは個人的に『ドライヴ』の印象が強いので今作でかなり見方が変わりました。昼間のキュートな印象と夜のクールでセクシーな印象をどちらもどんな服装も着こなせるのがすごいし、朝焼けの中でホットドック片手にもう片方にはヒールを持って裸足で歩いてくるシーンはめちゃくちゃカッコ良かったです。また、作品を通して使われている音楽も素敵だし、弦楽器の不協和音がとても効果的に使われている印象でした。

作品は多くを語らず、少しずつ人間関係や過去の出来事が判明していくので、中盤まで何が起こるのか、どういった展開になるのか掴みきれずモヤモヤしましたがチャプター4からの怒涛の展開は脚本の力強さ、この作品と通して伝えられるメッセージの強さがビシビシ伝わってきました。見えない何かに身体の深い部分を何度も殴られているような感覚、心臓を掴まれているような緊迫感とストーリー展開は圧巻です。

◯被害者と加害者
自己責任と言ってしまえば身も蓋もないですが、被害者「も」悪いなんて不条理がまかり通る世の中であるべきではないし、かといって加害者が「制裁」を受ければ万事解決する問題でもない。そしてそれを見ている傍観者も…。今もどこかで起こっているかもしれない正解のない問いを真正面から突きつけてくる脚本とそれを作品に仕上げた監督の手腕が光る骨太な作品です。
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