結局カレー

マイ・ダディの結局カレーのレビュー・感想・評価

マイ・ダディ(2021年製作の映画)
3.2
人々に信じましょうと呼びかける牧師が、今は亡き最愛の妻を疑わざるを得ない状況になったなら。不確かなものが多い世の中で血縁関係って限りなく確かなものだったはずなのに、1ミリもそんな疑念はなかったはずなのに、今や経緯を確かめる術もなく紛れもない事実だけが確実に自分を裏切ってくる。
一方で江津子もだらしない相手の戯言に騙されたがために、悪気もなく愛する人を裏切ってしまった事実に気づいたショックは計り知れない。決定的なその事実が2人への確かな愛情を証明できなくしてしまったわけだから。

お互い確かに愛し合っているのにそこに存在する事実がどうしても関係を揺らがせる。誰にも弁護できないし必ず蟠りは残る、はずなのに。ひかりが言ってくれたから、救われた。ひかりは確かに2人の誠実な愛情を受けて育ったんだなと感じられて胸が熱くなった。うやむやにして目の前のひかりのことだけを考えようとした父に母の確かな想いを伝えることを諦めないでくれて良かったな。

娘が病気を患ったこと、娘と血が繋がっていなかったこと、大好きなちくわカレーが大好きなまんま食べれてしまうこと、娘を救うために神頼みじゃなくてクズ男に跪いて頼み込むしかない現実があるってこと、この苦しさに耐えられるなんて父親の所業でしかないよな。いい家族だったんだなぁ。