Ricola

たまご割れすぎ問題のRicolaのレビュー・感想・評価

たまご割れすぎ問題(1926年製作の映画)
3.8
サイレント映画時代のコメディ俳優というとチャップリンやキートンが真っ先に挙がるだろうが、チャーリー・バワーズという存在を我々は忘れてはならない。
バワーズの奇天烈でファンタジーな世界観には、童心にかえったようなほっこりした気持ちにさせられ、ときに度肝を抜かれる。


卵を運搬しやすいように、殻を割れにくくしようと考えたチャーリーは、見事発明に成功する。
まるで子供番組ピタゴラスイッチでよく観ていたような、身近にあるもので作られた手作り感満載の機械の中を通っていくことで卵の殻がなぜか強固になる。
あんなに割れやすかった卵が、ハンマーで叩いても圧縮機に入れても割れない。
殻が屈強になる仕組みは全くもってわからないが、そんな理屈はどうだっていいのだ。

卵の「割れすぎ問題」のみならず、卵というテーマからも連想されるように、生命の神秘にも触れられるのが興味深い。
やはり生物から無生物、または無生物から生物へと移行すること、さらには無生物が生物のように動き出すことへの、チャーリー・バワーズの抱いているであろうロマンを感じられる。
卵の殻を破って出てきたものはまさかの…〇〇という点には、驚きのあまりつい声が出てしまった。

すぐに割れてしまう脆い卵に翻弄されつつ、この小さな殻に詰まった謎と未知なる可能性の大きさにワクワクするバワーズに、我々はびっくりさせられ笑顔にさせられ続ける。
Ricola

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