great兄やん

秘密の森の、その向こうのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
4.5
【一言で言うと】
「喪失への“治癒”」

[あらすじ]
8歳のネリーは、森の中に立つ祖母の家を両親と共に訪れる。亡くなった祖母の家を整理することになったものの、母は少女時代の思い出が詰まった家にいることに耐えかねて出て行ってしまう。残されたネリーは、母が昔遊んだ森を探索するうちに、マリオンという母と同じ名前を名乗る8歳の少女と出会う...。

”さよなら(Au revoir)“は、また会うためのおまじない。

圧倒的”母性“を感じれる秀作。親でもないのに我が子を見つめるかのような愛おしさに溢れており、マジで何もかもが”可愛さ“に包まれたかのような映画だった…

セリーヌ・シアマ監督最新作というわけで、それなりに期待はしていたが余裕にそれ以上でしたし、73分というコンパクトな時間の中であらゆる”感情“の波を静謐に描き切っている所がまた良い。

幼少期の”ママ“と出会い、少しの友情と絆を育んでいくストーリーもですし、相変わらず”距離感“と”目線“の描き方が本当に巧すぎるんだよなぁこの監督…”映画“としてではなく、もはやホームビデオを見ているかのような生暖かさを感じれると言ってもいいほど。

それに娘と小さな母を演じた二人も実際の双子だからか、両者の接し方も自然体で違和感皆無でしたし、二人でクレープを作ったり、ボートを漕いだりと、ただただ“カワエェ…”以外の語彙力が全部吹っ飛びましたね笑。可愛すぎて😁
もう2時間あっても良いからあの子達が戯れあってるシーンをもっと見せてくれ...

とにかく“安らぎ”によってそれぞれの“喪失”が救われていく、時空を越えた二人の出会いに観る者の心までもが洗われていくような一本でした。

ジブリ作品をベースにしているのもあり、ファンタジーな世界観ながらどことなく親近感を覚えるあの手触りは、まさにジブリならではの“あどけなさ”を体現していますし、映画というよりかは“絵本”を読んだかのような感覚に近いのがとても印象的でしたね🤔

ただまぁ起伏があまり無い作品ゆえ大々的な感動は味わえないが、それでもあの二人の可愛さには心を奪われますし、ラストの余韻然り純粋な優しさに洗練された素晴らしい作品でした!!😆