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明け方の若者たちのMaUのレビュー・感想・評価

明け方の若者たち(2021年製作の映画)
3.2
明け方は若者の時間。少し斜めから世の中を見ている(つもりの)自分。うまく流されている仲間たちとは温度差があって、ふと、この人もそうかもと思って目が合った瞬間、恋は始まるのかも。そして泣いたり笑ったりのかけがえのない日々が重なっていく…

時期が悪くて映画館で観れず配信にて。ほろ苦い青春群像劇好き。加えて北村匠海が好きなので期待大で臨んだ。

自分のその頃と比べて隔世の感。男女が逆転した感じ。ミステリアスで潔い女性と悶々と悩みくよくよしがちな湿度の高い男性と。後から見たら若い女性の監督だということで、その感性を作品の中に感じた思いになった。

若い世代の日常や暮らし方や悩みや恋愛の進み方が等身大で描かれている感じでよかったが、黒島結菜演じる女性の設定に唖然。前半と後半がガラッと変わっていく感じに心がちょっとついていけなかった。もう少し普通の恋愛の始まりと終わりでもよかった気がしてしまった。どんでん返し的なプロットに、感じていたエモさが少し削られてしまった気がしてちょっと残念。ま、そんなこともよくあるのよ、ということなんだろうけれど。

北村匠海は期待通り。こういう役似合う。思い上がって打たれて急降下する感じも悶々とする感じもうまい。実はとても拗らせてる、みたいな役うまい。安定してて安心。黒島結菜は本来彼女が持つ感じや年齢感と少しミスマッチだった感。それでも高円寺の町でのあれこれはかわいらしく本領発揮だった。モードな服よりボーイズっぽいデニムが似合う感じ。

カップルや友達で意味もなく飲んでは語り、明け方に白んできた空の元眠っている街を闊歩する。これってやっぱり若者の醍醐味。街中から見える明け方の太陽の感じがなんだか懐かしく見えた。明大前、下北沢、高円寺… ああ、エモい、とついセンチメンタルになる街が舞台。こういう作品を見るといつも私がその辺りを徘徊していた時代の友達に会いたくなる…
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