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ボーはおそれているのhiyoriのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.7
アリ・アスターの作品。正直この作品をどう捉えればよいかまだ迷っている。着々と成果を残しここぞというタイミングで大きな予算が用意される監督のロールモデルとしてはジョーダン・ピールやデイミアン・チャゼルらと共通している。そしてそれらが良作がどうかは別として、超娯楽作品もなり得るし超私的な作品にもなり得ることで明暗が別れる訳だが、本作は紛れも無く後者である。アリ・アスターは少なくとも自身を投影する作家だが、「ヘレディタリー 継承」「ミッドサマー」が自己救済を描くのに対して、本作は自戒についての映画であることが大きな違いだろうか。悪夢と悪夢的現実の境界、過去の記憶に基づいたトラウマを序盤から絶え間無く敷き詰める。まさにアリ・アスターの描く日常からのトリップを感じ最高傑作になるのかと思ったが、どうやらトリップし過ぎたようだ。すごく好きな部分もありつつ、どうにもやり切れない部分も。本人が満足してるからいいかとはなれなかった。
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