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映画:フィッシュマンズのskkのレビュー・感想・評価

映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)
3.8
私がfishmansを知ったときにはとっくに佐藤伸治は亡くなっており、すでに伝説のバンドとしての評価を確立していた頃に完全後追いで聞き始めました
私は高校までずっとwarpとかninjatuneとかのエレクトロニカとかヒップホップをずっと聞いていたのだが、このバンドやその周辺のバンド(polaris等)から邦楽バンドに興味を持ったので、自分にとっては結構重要な位置を占めるバンドでした
3時間弱という尺にちょっと気が引けたが、それでもfishmansにのめり込んだことがある1人として、この映画は見なければいけない気がして鑑賞

バンドメンバー等の当事者の言葉と様々な映像(本当に結成当初の頃の映像なんてよく出てきたな…)により、完全後追いの身としては神格化されすぎてて些かわかりにくかったfishmansというバンドや佐藤伸治の実像が多少なりとも把握できた?ような気がする レコード会社との折り合いや売上の伸び悩みで頭を悩ませるバンドの姿から、彼らも普通の人間の集まりだったのだなぁと実感した

それでも、バンドとしてうまくいっていた「空中キャンプ」の頃を過ぎて、「宇宙日本世田谷」あたり〜それ以降の時期については話者たちの言葉が詰まり、歯切れ悪くなっていくのが非常に印象的 とてつもない高みに到達しつつあった反面、人がどんどん離れていってしまうのは皮肉ですね
また、この頃の映像での佐藤伸治の目つきがとても印象的 初期の少年のような無垢なそれとは異なる、なにか彼岸を見据えたような目つきになっていたように思えて、それが少し恐ろしかった 茂木欣一も述懐するように、「daydream」「ゆらめきin the air」あたりはそうしたギリギリの状況を反映していたのだろうな

一つ惜しいのは、再稼働後のfishmansについての言及が少ないことか これがバンドfishmansの映画とするのであれば、(無論、佐藤伸治が圧倒的に重要人物であったことは論を待たないのだが、)佐藤伸治にまつわる話だけで終始せず、一旦解散状態になってから再稼働に至るまでの経緯についての言葉がもう少し欲しかったところである
茂木欣一のスタンスを言葉で聞けたのは価値があると思うが

あと、ポスターのキャプションにMelodyの歌詞が引用されてるのに劇中でかからないのはちょっとショック…(これは私がMelodyめっちゃ好きというだけなんですが)
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