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茜色に焼かれるのkoyaのレビュー・感想・評価

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
4.5
この映画はお金の映画かと思います。

主人公の尾野真千子演じるシングルマザー、良子は夫を交通事故で亡くす。
加害者は社会的立場の高い高齢者で結局罪に問われず、保証金で解決しようとするところ、受け取りを拒否。

一人息子も中学生になりコロナ禍で生活は苦しい。
何にいくらかかったか、が字幕で何度も出てきます。
良子はひそかに風俗で働く。

しかし世間の風は社会的弱者に対して冷たくて、それにキリリと時に頑固とも思える強さで立ち向かう女性。

男性は、といえば加害者を始め、保身に走る者、風俗に来る客のいやらしさ、DV男、不倫を迫ってくる男と情けない。

いい男と思えるのは息子、純平と永瀬正敏演じる風俗店の店長。
大人の厳しさというのはお金の厳しさであり、お金がないということは不安できりつめた生活は精神的にすさんでしまう。

そんな中を同じ風俗店に勤める若い女性、ケイも含め「不幸」の一言ではおわらせないのがこの映画。その中を生きて、生きて、生き抜く。

世の中には厳しい事が多くて、マスク生活が当たり前になったコロナ禍の現状をリアルに映し出せば出すほど迫力は増す。

尾野真千子の女優魂を見た気がします。
女優を自称するならここまでやって欲しい。
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