よし

バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版のよしのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

シャーロックシリーズ原作未読、ディーン・フジオカや岩ちゃんの大ファン!!というわけではない人間です。
ドラマが面白そう!で見ていてなにこれ面白い!!とずっと好きなドラマです。それが映画化!!絶対観る!!と仕事に休みを入れて観に来ました。

※大地震、土砂崩れ、粉塵が上がる様、そういった光景に抵抗、トラウマがある方はラストにご注意ください。

初っ端、私が衝撃を受けたのは家が違う!!という事でした。獅子雄と若宮ちゃんの住む家が!!最終回か特別編で追い出されたりしましたっけ……?それとも、映画だからと変えたのか。私はとてもとてもショックでした。あの家に今でも二人で住んでいるんだろうと、あの家で二人で少しでも話すシーンが見れたりするのかと、そう思っていたのです。ついに家賃が払えなくなったのかなぁ。そんな描写ありましたもんね……なんだか、とても安そうな狭い部屋でしたね。

それはさておき。

リモートで依頼を受けている最中に依頼人が突然死、リモートとはいえ1番最後に接触していたからと2人が個別で事情聴取を受けることに。
そして、霞島での誘拐事件の事を聞き、霞島に拘る江藤とは少しケンカ越しに。江藤が拘るのはそこが生まれ故郷だから。そんな話、ドラマにありましたっけね。

そして霞島へと向かう事になるのですが、これはやはり前金を受け取ってしまっているからなんでしょうか。それとも江藤の事が引っかかり、獅子雄として「謎」になったからなのか。私としては「謎」を解明したがるシーンが欲しかった。獅子雄がやたらとお金に貪欲に見え、ふむ、と腕を組んでしまいました。

霞島では若宮が家庭教師をしていたことのある依頼人の息子が、目的地である彼の自宅まで送ってくれましたが、車中での会話などテンポはよかった。ひじょうに良かった。けれどどこか引っかかるのは私だけなのでしょうか。

そこから登場人物が一気に登場しますが、一つ最後までわからなかったのが、どうして若宮がちゃんが怪我をしなければいけなかったのか。 ヴィルという蓮壁家の飼い犬が、たまたま若宮ちゃんがヴィルのお気に入りの靴(好きな匂いがついてたらしい)を持ってたからではあるけどそれを渡したのは獅子雄。ドラマでの軽いノリ。さすがに何も知らずにほいと渡したにしろ心配する素振りだけでもあってほしかった。ドラマなら「ところで若宮ちゃん、ちゃんとガーゼは替えてるのか?放置すると~」くらいは電話で言ってそう。それに対して「これでも医者なんだよ!」「元、だけどな」くらいのやり取りはあったほしかった。個人的には。

そこから物語が急展開するように転がっていくけれど、ドラマのようなコメディ感はあまりなく、終始シリアスです。ドラマはドラマ、映画は映画、というのも分からなくはないけど、そこまで雰囲気変えなくてもよかったんじゃなかったかなぁと。監督さんが「ガリレオ」の方だと知って納得。確かに福山雅治さんと柴咲コウさんがやられていた「ガリレオ」感がすごい。というより、東野圭吾感?

なんとなーく、この人が犯人なのかなぁとか、こいつも何か知ってんだなって言うのはわかります。みんな視線が怪しい。全員が秘密保持者だったんですが、村上二郎演じる千里。彼の秘密だけがわからなかったんですが、もしかすると、彼は姉とは血が繋がっていないとわかっていたんじゃなかろうか。でないとあんな、弱冠傍若無人に振る舞うような青年が姉に対して「あなた」と呼ぶ事への違和感が消えない。1回だけにしろその違和感はとても大きなものでした。

西村まさ彦さん演じる父親同様、千里も殺されます。そうだと思った。虹郎君が演じる時点で死亡フラグ立ってんですよ。

最後、それぞれの秘密も明るみになり犯人が判明したラスト、そして獅子雄の慟哭。しかしあれは、本人達から直接なぜそんな事をしたのか聞きたかった、知りたかった、という事の方が大きいなと思います。自分の関わった人の生死についてそこまで軽薄な人ではないけれど、罪を犯した人に対しては冷徹とも言えると思う。あのシーンは、死んでしまった!というのもあるけれど、先程も述べた通り、事件の真相を直接聞きたかった!!の方が獅子雄の中で大きいんじゃなかろうか。それ故のあれだけの慟哭。

ディーン・フジオカさんが獅子雄が意外と情に厚いというような事を話されていたが、私がそう感じたのは助手(や部下と言いつつめちゃくちゃ相棒だと思ってますよねぜったい)である若宮ちゃんに対してだけのようだった。
留守電にしていたくせに若宮ちゃんが「俺にはあんたが」と言い淀んで切った時、間髪入れずに折り返してきて「どうした」と。若宮ちゃんに対して甘くなりましたねあなた。
他にもラスト、自分だけでも車から降ろしてくれと叫ぶ若宮ちゃんを無視し、地震がおさまった頃に絶対に車を止めなかった奴に車を止めろと叫ぶ。私には若宮ちゃんを守る行動にしか見えなかった。

そのラスト、あ、そうだったんだ!という驚きはありました。が、ミステリー映画としては少し物足りない気もします。ドラマの面白さとはまた違った面白さがありました。

しかしやはり、小さな違和感はいくつもあります。

あれだけ探偵と言われるのを嫌い、「犯罪コンサルタントだ」訂正し続けてきたのに、今回は探偵と呼ばれてもひとつも訂正しない。「探偵」として職業?を偽ってましたっけ。若宮ちゃんに対しての部下呼びも気にはなりましたが、蓮壁家を調べる為の変装的なものでしたっけ。
若宮ちゃんが全く獅子雄の名を呼ばない。一回くらいじゃなかったかなぁ……あと、予告で散々言ってた嘘と秘密の数(たぶん)、どれがどれかわかんなかったので、もう1回行きたいと思います!!

だらだらと長々書きましたが、ドラマ版を期待して行くとガッカリ度が高いと思うので、映画は映画!と割り切っていきましょう!!

※以下追記

若宮ちゃんが探偵助手として扮装してるのは仕方ないとして、元医者だとはバラしていたんだから、母親がおかしくなった時には精神科医として診てあげてもよかったのではないのだろうか。犬に噛まれた時や他の時にも、医者として出来た事はあったと思う。どうしてラストのあそこだけだったのか。
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