幽斎

ヴァーチャル・ウォーの幽斎のレビュー・感想・評価

ヴァーチャル・ウォー(2019年製作の映画)
3.0
バルト三国、社会科で習いましたね?、さぁ皆さん御一緒に~エストニア、リトアニア、ラトビア。はい、良く出来ました(笑)。ソ連から独立しEUに加盟して、移動が自由に成った事で、西ヨーロッパへの人口流失が止まらないのが悩みの種。

映画の方はレビュー済「デビルズ・ソナタ」の様にフランスや北欧と積極的に組んで作品をリリース。日本のスタジオと共同制作「ふたりの旅路」も話題に成った。戦争モノしか需要が無かった頃に較べ、門戸は開かれてる。本作は、宗主国ロシアがレビュー済「アトラクション」シリーズで世界中でヒットを飛ばした事に触発されて作られた、ラトビア初のSF映画。

原題「TUR」意味、その場所。ジャケットは本国と同じ仕様。作品の中身は、どう観ても恋愛モノ。確かにジャケットの最下段に「ヴァーチャルか現実の世界。どちらで生きていくか究極の選択を迫られるSFアクション・ラブストーリー」と言い訳が、間違い探しか!(笑)。当のラトビアのスタッフが、真顔でSFを創ったつもりなので仕方ない。

リア充でない方は他人の恋愛話に興味がないと思うので、自分の事は棚に上げて女々しい展開に、最後まで付き合う気力が残って無いかも。ハリウッドとの違いを感じたのは、人権とか人格の取り扱い。本作の鍵はパソコンに為るが「他人の物は俺の物」と言う中華思想そのまま、つまり共産主義の思考が根強く残存してるのがラトビア人の現実。私が独身で死ぬ場合は自分のVAIOが、大好きな「スパイ大作戦」の様に「このパソコンは自動的に消滅する」~ドガァーン!と消えるようにしたい(笑)。

悲しいのは、ラトビアの人にはVRバーチャル・リアリティが最先端のハイテクなのだろう。日本ではプレイステーションでアダルト・ゲーム。例えば痴漢電車をゴーグルを着け下半身を露出して○○○してると知ったら、どう思うだろう(笑)。彼らなりに精一杯ハイテクを見せようとするが、それが家庭用の南朝鮮メーカー協賛品だらけでは、意味がない。観客はSFに「未来」を求めてる。

1983年Christopher Walken主演「ブレインストーム」初めて仮想現実を映画化。死後の世界を体験するスリラー。大真面目なSFだが、既にこの頃からエロは有る(笑)。そして1992年007:Pierce Brosnan主演「バーチャル・ウォーズ」現在の仮想現実に近いヴィジュアルで描いた作品。観れる環境の方は是非見て欲しいが、これを進化させたのが皆大好き1999年「マトリックス」。残念ながら2019年の本作はガジェットは最新でも中身は古臭い。始めからハイテクを塗したラヴ・ロマンスで制作すれば、ラトビアの「らしさ」も映し出せたに違いない。先入観が邪魔をする悪しき例として、次に活かして欲しい。

英国の雑誌で「世界一美しい国」と紹介された、ラトビア。美人も含め目の保養には成るかも。
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