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隔たる世界の2人のtetsuのレビュー・感想・評価

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
4.8
Twitterで高評価を聞き、Netflixで鑑賞。

ベッドで目を覚ました男性。傍らには、一夜を共にした女性が眠っている。何かが始まりそうな予感を胸に抱きつつ、愛犬の待つ自宅に帰ることにした彼。しかし、彼のありふれた日常には、理不尽な現実が立ちはだかる……。

アカデミー賞、実写短編部門を受賞した一作。

実のところ、ちょうど、本作の鑑賞前に、海外ドラマ*で、類似した物語を観ていたというのもあり、展開やメッセージに対する驚きなどは少なかったものの、描き方に関しては、こちらの方が一枚上手だと感じた。

*『トワイライトゾーン』(2019)の第3話「巻き戻し」は、映画好きの青年と母親が、ある"小道具"によって、この映画と同様の怪現象に巻き込まれる内容。それゆえ、辿り着くメッセージも、ほとんど同じではあったのだが、本作とは、リアリティの取り入れ方に大きな違いを感じた。特に、物語が動き出す一連の描写や、主人公の対となる"人物"の描き方は、本作の方が実際の出来事に基づいている印象があり、説得力があったように思う。

また、スパイク・リー監督が用いてきた「怒り」や「不満」といった"負のエネルギー"とは少し異なるアプローチで、社会問題への主張を提示したラストも印象的で、幕引きに提示されるものも含めて、広く受け入れられやすい作品だと感じた。
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