このレビューはネタバレを含みます
途中まではドゥニ・ヴィルヌーヴの『メッセージ』を思い出す様な対話への主張性を見出していくが、ラストでそれを放棄することによってもう一段上の批評性を得る。
でも、その結論で良いのかどうかは正直疑問がある。
それでも一つだけ確かなのは、そう決意せざるを得ないのが「今」であるという、痛切な事実。
時間のループを扱った作品群に、ループから抜け出さずに終わる物は少ない。
だからこそ、この作品がループから抜け出さずに終わりを迎える事は「これが現実である」と観客へより突き付ける結果となる。
虚構と現実を緻密に織り混ぜ密接にする、見事な脚本である。