このレビューはネタバレを含みます
“人の心を溶かすのは、人の温かい心
なんだ”
血が繋がっていても
繋がっていなくても
家族じゃなくて
友達でも 恋人でなくても
偽りのない 心から湧き出る
温かさが言葉になり 行動に現れる
この物語に悪人は出てこない
陸のおばあちゃん はじめは苦手だった
あんなお姑さんと同居してたら 私は
早晩逃げ出してしまうだろう、と
思っていた
でも 陸のお母さんが産後で
いっぱいいっぱいの状態になった時
颯爽と現れて助けてくれたのは
あのおばあちゃんだったのだ
お母さんからすれば お姑さんは
正義のヒーローならぬヒロイン
だったのだ
この作品の登場人物は表裏がない、
というより2枚舌ではないと言った方が
いいかもしれない
時に優しい言葉が刃のように自分を
傷つけることになったとしても
それを悪意として受け取らない
既に培っていたお互いへの信頼感が
そうさせるのか？
人の心は見えにくい
自分の為に言ってくれた言葉も
悪意と取ってしまうこともある
逆に自分は良かれと思っていた行動が
相手を傷つけてしまっているかも
しれない
この映画で初めて サンカヨウを
知ったのだが
人の心もこれくらい透けて見えたら
こんなに苦しまないのに
一方 『子どもの時に子どもらしく』
生きている ひなたと違い
幼少時から 周りの大人の期待に
応え その振る舞いに自分自身も
存在意義を感じていた陽と陸
専門家ではないけど
『アダルトチルドレン』という
言葉が過った
程度の差こそあれど
アダルトチルドレンとして 今も尚
苦しむ大人もいるかもしれない
陽と陸のように 周りの人達が
優しく見てくれていたら
どれだけ心が救われるだろうか
この作品は
ありがちなストーリーに見えて
登場人物を見ると まるでファンタジー
の世界のようだ
温かく 優しく 遠くない未来にも
希望を持ちたくなる
明日から再び 『闘い』の日々が
はじまるとしても
この作品で ほんの少しだけ
近くにいる人に優しくなれそうな
気がする
