せの

ベネデッタのせののネタバレレビュー・内容・結末

ベネデッタ(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

大傑作でした!
イタリアの街ぺシアの修道院に入ったベネデッタは成人後、就寝中にイエスの姿を見て、両手両足に聖痕が出現。修道院長の地位を得るが…色々あるヨォというお話。

ベネデッタという曖昧な人物は、幼い頃から自分には神の声が聞こえると思い込んでいる様子で、それを疑っていないからこそ真っ直ぐな信仰心でどんどん地位と権力を得てしまいます。逆にフェリシタは、熱心な信者ではあるがその明晰さ故に神の存在や声を心から信じることができず、ベネデッタのように力を持ち続けることができませんでした。非常に対照的な2人です。
そしてバルトロメアは、修道院の凝り固まった風習やベネデッタの異常さに、無垢な視線で物申してくれる我々の代弁者のような位置付けなんですかね。

まぁ〜この3人の関係や思いの交錯が面白くて面白くて、、、
ベネデッタが実際に自分で聖痕をつけていたのかどうかってところが大きな論点になるわけですが、それは観ているこちらにも濁されて描かれていて、しかしいずれにせよあそこまで追い詰められながらも完全逆転してあの激アツなクライマックスまで持っていけるベネデッタさんは間違いなく何か持っていますよね。

修道女たちも、厳しい規律に縛られているだけで普通の人々であり、高尚なわけでもなんでもない。女性の裸がよく写りますけど、ああいう空間でなら当然というレベルの描写で、これ見よがしでもなければ不自然に隠したりもしない。ペストの流行しているフィレンツェでの街の様子や、ベネデッタの火刑での民主の動きなど、一つ一つのディテールがリアルで、そこにも目を惹かれます。

ともかくこんな傑作を見逃していたことを後悔しつつ、まあ当分は見返さないだろうと思える精神的なストレスのある作品でもありました。
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