牛猫

スティルウォーターの牛猫のレビュー・感想・評価

スティルウォーター(2021年製作の映画)
3.8
フランスで殺人罪に問われたアメリカ人の娘の無実を証明するため、父親が現地へ渡り真犯人捜しに奮闘する話。

華やかなイメージのあるパリとは打って変わって、抗争やドラッグ売買のニュースが飛び交う南フランスの港町マルセイユが舞台。
綺麗に整備されて観光地化されているところもあれば、地元の人すら近寄らない危険な地域もあるというのは、どこの国でもあることだと思うけど、言葉の通じない環境で単身危険に飛び込んでいくマットデイモンがあまりにも無防備で、娘を信じる気持ちと異国での無力さに打ちひしがれる姿が、なんとも痛々しかった。
それにしてもマットデイモン良い歳の取り方してるわ。年齢を重ねるたびにガタイが良くなっていってる気がする。腕が太すぎ。フランス人母娘と一緒にソファに座っているショットで身体が大きすぎて騙し絵みたいになってた。くたびれたチェックのシャツをジーンズにたくしこんだ姿は典型的なアメリカ南部の白人って感じ。冤罪を主張する娘を演じたアビゲイルブレスリンの貫禄にも説得力があった。

このフランス人母娘との交流も微笑ましかった。特に娘役の子が愛らしかったし、それを見守るマットデイモンの表情の変化も上手かった。

真犯人への唯一の手がかりが差別主義者のバーの店主であったり、排他的なスラム街の住民であったり、そのあたりの背景が分かればもっと深みが出たかもしれない。

結局事件の真相は分からずじまいだし、フランス人母娘と実の娘とのパートがいったりきたりで退屈はしないけど少し観ていて疲れる。
スッキリしない終わり方だけど、マットデイモンの役作りの凄さは天晴だった。
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