タスマニア

前科者のタスマニアのレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
2.0
2022年21本目。

うーん。
描く題材と森田剛のキャスティングの時点で、めっちゃ期待してたんだけどなぁ。
自分がこの映画に期待していた焦点以外の描写が結構あって「そこは正直どうでも良いんだけどなぁ」っていう気持ちに何回もなった。
あと、結構暴力的で個人的には雑にも感じられる展開があって、繊細に捉えたいシーンに対してすごく雑音になって辛かった。

このスコアは多分期待値高すぎたことに対して、悪い方に振り幅が効いてしまっている部分もあるかも。

とはいえ、映画の冒頭の阿川さんの保護司としての振る舞いの描写と、その後に画面に表示される "保護司" そのものの説明のテロップに記載された「報酬はない」という文字を見たときはかなり引き込まれた。
「これは良い映画に出会ったかも」ってすごく思えた。
保護司としての仕事をしながら、コンビニで働いているという設定への理解をすごく助けてくれるし、その上で「保護司」という職業を選ぶ阿川さんの人柄やバックグラウンドの深掘りが期待できた。
そこに、誠を演じる森田剛の佇まい。「ヒメアノ〜ル」の森田を少し思い出すところもあり、すごくワクワクしたんだ。

心のどこかで、この映画に対しては「素晴らしき世界」のように、前科者の更生を阻む厳しい現実を描き、その上で、聖母のような立ち位置の保護司阿川さんによる "救済" を期待していたかもしれない。

とりあえず、個人的には阿川さんと幼馴染との恋愛描写は本当に要らなかったし、急にテイスト変わってちょっとびっくりしちゃった。
急に銃で頭をぶち抜く凶暴性も描写としては面白いけど、この映画では期待してなかったんだよなぁ。
あと、警察の描写なぁ・・・。なんかツッコミどころ多くて。
マキタスポーツのふてぶてしさとかも良いんだけど、なんかこの映画では欲しくなかったなぁ。

個人的にこの映画のベストシーケンスはコンビニの前でのみどりとの会話。
阿川さんを弱くてダメな部分もある一人の女性として位置付けて、前科者のような立場が弱い人間が本当に必要にしているのは保護司ではなく、阿川さんのような人間である。この言葉すごく刺さった。
実際、弱ってる時って、弱さが見える人に安心できたりするしね。

石橋静香の金髪ファッションは驚いたけど、みどりの役すごく良かった。
その後の「惚れるなよ」「惚れそ〜う」という可愛げのある掛け合いも、年相応の女性の可愛らしさが感じられて、「眼鏡有村架純眼福」なんて思ってた笑

キャストも豪華で、それぞれ演技良かったし、単体のシーンでは感動できたんだけど、個人的には余分な要素が多かったのと、それぞれのシーンや展開の組み合わせやテイストのバランスがどうにもちぐはぐに思えて、「何だかなぁ」って思った。
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