ドント

月光の囁きのドントのレビュー・感想・評価

月光の囁き(1999年製作の映画)
4.4
99年。愛…………愛とは……………… 部活の剣道に打ち込み、ほのかに恋心を寄せ合う高校生、日高くんと北原さん。ふとしたことから付き合うことになり、幸せな恋愛物語になるはずだった。日高くんが筋金入りのド変態野郎でなければ……
性欲とも愛欲とも切り分けられない(※窃盗や盗聴は犯罪です)青い春のゴチャゴチャが、ゴチャゴチャなまま全くエロくなく(つまり“男の性欲を昂らせる”映画ではないということだ)でなく暴走していき、奇跡のように結晶化していく様が美しく撮られていく。全くどうかしている。だがどうかしているからそれがどうした。これは濁った純愛映画だ。
S側のスイッチが動きはじめるのにいささか力が足りないと言うか、M側の願望が叶いすぎな都合のよさを感じる部分はある。しかしこの、おとなしい狂気と突き殺す慈愛を表現しきった主演2人の顔を見れば、気品と緊張感をピチピチに保ち続ける映像を見れば、そんなものは瑕瑾と言える。二人乗りの自転車、押し入れ、雨の田んぼ、濡れた窓ガラスがいちいち狂っていて素晴らしい。そして最後に場違いなEDソングがこの青春を祝福する。愛とはつまりこういうものだ…………愛とは………………
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