great兄やん

レッド・ロケットのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
4.4
【一言で言うと】
「欲望の“はりぼて”」

[あらすじ]
2016年。マイキーは、ポルノ映画のスター俳優だったものの落ちぶれてしまい、無一文の状態で故郷のテキサスへ舞い戻る。別居中の妻レクシーと義母リルに煙たがられながらも、マイキーは彼女たちの家に居候させてもらうが、17年間ポルノ俳優をやっていたことがブランクとなって仕事はない。昔のコネを頼ってマリファナの密売で日銭を稼ぐ中、マイキーはドーナツ店で働く少女と出会い...。

史上最悪の“里帰り”とはまさにこのこと笑。

いや〜好きだわこれ笑笑。確実に賛否真っ二つに分かれるかもだけど自分は確実に好きなタイプの映画だったし、観終わった後になんでか知らないけど自信と活力がみなぎってきた。本当になんでか知らないけど😅
あんな糞味噌な野郎に元気を貰えるとは...ある意味ありがたい奴だぜまったく😏

とにかく主人公マイキーのキャラがもうなんというか(^◇^;)...色々とズルいんですよね笑
好きでもなければ嫌いでもない。ただどちらかと言えば嫌いではあるが、嫌悪感から来る“嫌い!!”ではなくて、満更でもない“嫌〜ねぇ”ってな感じ。よく喋るわ嘘ばっかり言うわ働く気は無いわでまぁ俗に言う“クズ野郎”ではあるんだけど、側から見てると何故だか魅力的に見えてしまうんですよね...側から見ればだけども笑笑

そんなマイキーがある日ドーナツ屋で働く少女に恋をしてしまうのだが、この一目惚れ→好意を寄せるまでのスピードが爆速過ぎてマジで笑う😂😂そんでもって奥さんとヤってはその子ともヤるというクズっぷりには嫌悪感通り越してもはや清々しいとまで感じてしまうほどでしたね...元ポルノスター故の“本能”なんでしょうか🤔知らんけど笑笑

ただそんなクレイジーな男を描くだけの物語かと思いきや、意外とシビアにアメリカの“リアル”にも深く追求していくのがショーン・ベイカー監督ならではというか。

『フロリダ・プロジェクト』でもあった夢の奥に潜む現実の厳しさ、特にアメリカン・ドリームを抱く者ほどその地域がもたらす“リアル”によって毒されていってしまうというまさに皮肉めいた描写が今作ではその切れ味を発揮していましたし、マイキーというキャラでかなりマイルド化されているものの、一歩引いた目で見ればその日暮らしの生活すら困難なほど追い詰められているのがなんとも“笑えない”怖さを感じましたね😰...

そしてそんな“危機”すら度外視してチャリを漕ぎ少女を口説きに行く...ある意味、現実を見れてない方が彼は幸せなのかもね😔

とにかくだらしなくて、どうしようもなくて、みっともない。そんな男が繰り出す最低な愚行録にいつしか目が離せなくなる、まさに独特な”背徳感“を植え付ける一本でした。

マイキー役を演じたサイモン・レックスの出演に至るまでの経緯も最高にロックでメチャクチャカッコいいし、とりあえずストロベリー役のスザンナ・サンという奇跡的な逸材を見れただけでも今作を観た価値は充分にあると言える。マジでショーン・ベイカーの冴え渡ったスカウト力が本領発揮された人材だと思いましたね...

その他キャストの演技力も非常に自然体で良かったですし、ラストの落とし方の弱さにモヤモヤしつつも何気に最後まで楽しめた130分間。もし日本でリメイクするとなると配役はどうなるんだろう?多分だけどマイキー役はしみけんで確定かもしれない笑笑